第二幕その四
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第二幕その四
「しかし落ち着け。折角連れて来てやったのだぞ」
「わかりました、旦那様」
「それでは」
彼等も頭を掻きながら応えて彼の後ろに下がる。彼等を控えた男爵はゾフィーの前に進み出てまずは一礼しその手に接吻をした。ところがそっとその手を撫でるのを忘れない。
「奇麗な御手ですな」
「はあ」
「噂にたがわぬ」
「男爵」
娘の横に来ていたファニナルがここで彼に声をかけてきた。丁度いいタイミングで男爵も立ち上がっていた。ファニナルはここでマリアンヌを紹介する。
「こちらがゾフィーの侍女のマリアンヌです」
「左様ですか」
今度の返事は素っ気無い。
「可愛いよな」
「そうだよな」
彼の後ろの従者達は別にしてだ。オクタヴィアンも紹介され一礼するがまたここで男爵の従者達が言うのだった。しかもよく聞いてみればかなり訛りの強い言葉であった。
「いやあ、男前の方だ」
「まるで女の子みたいだよ」
「あの、男爵様」
マリアンネがその彼等を見ながら男爵に声をかけてきた。
「お連れの方々が」
「失礼。こらっ」
それを受けて彼等を怒り出した。しかし声は優しい。
「静かにしておれと言っているではないか」
「すいません旦那様」
「別嬪さんに男前の殿方もおられるんで」
まるで畑で話しているようだ。素朴だが残念なことにここでのマナーではない。
「だがそれでもだ。静かにしておれ」
「すいません」
「それではあっし等はこれで」
「困った奴等だ。しかしですな」
オクタヴィアン達に顔を戻して言う。
「これで立派な奴等なのですぞ。気は優しくて力持ち」
「はあ」
ゾフィーはかなり戸惑いを見せていた。
「至って気のいいレルヒェナウの、わしの宝なのですじゃ」
「いや、旦那様」
「お宝だなんてそんな」
従者達もまんざらではないようである。その証拠に顔が笑っている。
「その中でもこれは。ロイポルド」
また我が子を呼んだ。
「息子でしてな。利発で気が利いて」
「ここの自分の子供は出しませんよね」
「まあ普通はな」
マリアンネと執事はヒソヒソと話をする。
「デリカシーに欠けるというか」
「何と言うべきか」
二人は困った顔をしていた。
「それで男爵」
ファニナルはそと進み出てきた。後ろにはワインのボトルを持った従者が一人控えている。
「私からささやかな贈りものです」
「ワインですか」
「そう、トカイです」
オーストリアで最も高級とされるワインだ。皇室御用達のものである。
「是非贈らせて頂きたいのですが」
「トカイといいますと」
しかし男爵は目を丸くさせているだけだった。どうやら知らないようである。
「どんなワインでしょうか」
「トカイを御存知ないのですか?」
「さ
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