第二幕その二
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うえでまた呟く。
「この幸福の瞬間を一生忘れない」
「従兄様」
ゾフィーは顔を見上げてオクタヴィアンをこう呼んだ。これは貴族の呼び方だ。二人の周りでは従者達がそれぞれの動きをして世界を作り上げていた。その中で二人はじっと見詰め合っているのだった。
「私は貴方を前から存じていました」
「従妹様」
オクタヴィアンもそれに応えてゾフィーをこう読んで応えた。
「私を以前からですか」
「そうです、系図の木の描いてある本はオーストリアの名誉の鏡と申しますね:
「はい」
俗にこう言われてきていた。
「私はその本を夜寝床に入れて私の未来の親戚の方々を調べていたのです」
「そうだったのですか」
「貴方がお幾つかも存じています」
これはオクタヴィアンにとっては思いも寄らないことであった。
「十七歳と二ヶ月」
「そこまで」
「洗礼名もですよ」
「私自身もそこまでは詳しく知りませんでしたが」
これには正直に驚いていた。しかもそれを隠さない。
「貴女は。そこまで私を」
「その他のことも存じています」
ここでゾフィーは顔を赤くさせていた。
「カンカンという仇名も」
「それもですか」
「親しいお友達を貴方のことをそう御呼びになるのですね」
「はい」
その通りであった。驚きを隠せないまま答えた。
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