第三部第四章 命運は決するその四
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「閣下には隠れた能力がまだあるかも知れないということはよく覚えておいて下さい」
「わかった」
話はこれで終わった。数日後アッディーン率いる高速艦隊はオーレフ星系に到着した。
そして敵軍が来るのを待った。やがてオーレフ北方にサラーフの艦隊が姿を現わしたとの報告が入って来た。
「来たか」
それを聞いたアッディーンの目が光った。
「援軍は今何処にいる?」
そして参謀の一人に対し問うた。
「今オーレフに入った頃です」
その参謀は敬礼して答えた。
「そうか」
アッディーンはそれを聞くと口に手を当てて考え込んだ。
「すぐに援軍に連絡しろ、サラーフ軍が来るとな」
「わかりました」
参謀はそれを聞き敬礼した。
「サラーフ軍をオーレフの中に誘き寄せるように伝えよ」
「はい」
「我々はそれに動きを合わせる。そして前後から挟撃するぞ」
「挟撃ですか」
「そうだ、そして一気に勝利を収める」
これはアッディーンの得意戦法であった。それは周りの者達もよくわかっていた。
「ですが敵もそれはわかっているのでは」
それを知る参謀はそう尋ねた。
「だろうな」
アッディーンは微笑んでそれに答えた。
「だが場所が違えば状況も変わってくる。挟撃といっても何通りもある」
「それはそうですが」
「見ていろ。我が軍は必ず勝つ。そして勝利を手にする」
それは強い声であった。参謀もその言葉に納得した。
「わかりました」
そして敬礼で答えた。
「わかればいい」
アッディーンはそれを見て満足気に微笑んだ。
「勝利は我が手に既にある。必ずや勝利を収めるぞ!」
「ハッ!」
周りの者達は一斉に敬礼した。アッディーンはそれを見て会心の笑みを浮かべていた。
オーレフに来たサラーフ軍であるがその士気は低かった。やはりマスコミの報道によりこちらの行動が敵にも全て筒抜けであるというのは痛かった。特に上層部のそれは深刻であった。
「敵はおそらく既にここに来ているだろうな」
サラーフ軍の司令官ハラス大将は暗澹たる表情で副官に尋ねた。
「おそらく。こちらの動きは全て敵に筒抜けです」
副官は暗い表情で答えた。
「だろうな。あれだけ報道してくれると」
ハラスは首を横に振ってそう言った。
「これで勝てという方が無理な話だ。それがあの連中にはわからないのだろうか」
彼はマスコミに対して批判の言葉を口にした。
「わからないのでしょう。連中はいつも何一つ知らないことをさも知っているかのように言うのが常ですから」
「そしていつもミスリードする。それでいて謝罪も反省もしないな」
「それがマスコミというものです」
副官の声も表情も苦々しげであった。
「連中は責任やそういう話になると言論の自由や報道の自由を楯にとり
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