第三部第四章 命運は決するその二
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「何という醜い番組だ」
ムスタファ星系に残りアッディーンのかわりに指揮を執るガルシャースプはサラーフのテレビ番組を見て思わず顔を顰めてそう言った。
「あのテリームという男は頭がおかしいのか?」
そう言って側にいるシャルジャーに対して問うた。見ればテリームは下品な言葉で相手を罵倒している。
「御前等が無能だからそうなったんだよ、この屑!」
「黙れ、阿呆が!」
テリームは吠えている。ガルシャースプはそれを見てまだ顔を顰めている。
「あれがサラーフを代表する論客なのです」
シャルジャーは答えた。
「論客!?精神病院の患者ではなく、か」
「はい」
「・・・・・・信じられんな。しかもさっきはハサン首相の下半身のスキャンダルまで喚いていたぞ。あれは立派な名誉毀損ではないのか!?」
「少なくともサラーフではそうではないようです」
「何故だ」
「この男がナベツーラの腹心の一人だからです」
「どうやらあの国のマスコミは相当腐敗しているようだな」
「はい、その証拠にこれを御覧下さい」
シャルジャーはそう言うと新聞をガルシャースプに手渡した。
「サラーフの新聞か」
ガルシャースプはそれを手にしながら言った。
「はい」
シャルジャーは再び答えた。
「ふむ」
ガルシャースプはそれに目を通した。するとその顔色がみるみるうちに変わっていった。
「・・・・・・何だこれは」
そしてシャルジャーに対して問うた。
「サラーフの最も質が高く売れている新聞です」
「これでか」
普段の冷静な様子とはうってかわって怒りを露わにした顔になっている。
「私は何処かの醜悪なイエローペーパーかと思ったが」
「私もそう思いましたよ」
シャルジャーは言った。
「しかし他はもっと酷いですよ。よろしければ御覧になりますか?」
「いや、いい」
ガルシャースプは首を横に振った。
「あまり不快な気分は味わいたくはない。読む価値のないものを読んでな」
そう言うと新聞を机の上に投げ捨てた。
「あながち読む価値がないとは言えませんよ」
シャルジャーはそれを手にしながら言った。
「それはどうしてだ!?」
ガルシャースプはシャルジャーの言葉に顔を向けた。
「ここを御覧下さい」
彼はそう言うと新聞の政治欄を開いた。
「これは・・・・・・」
見ればサラーフ軍の動向が書かれている。軍の今の高官の考えや発言、スケジュールまで。そして軍の展開等も。
「何故こんなものがマスコミに載るのだ!?」
どれもこれも軍事機密クラスのものであった。それを見たガルシャースプは思わず目を点にした。
「ナベツーラ達が故意にマスコミにリークしているようですね」
シャルジャーは言った。
「リーク!?」
「はい。報道の自由を楯に
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