第一部第一章 若き将星その四
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が頭にくる。強い兵器が次々にもらえるのならそれに越したことはない」
そう言って嬉しそうに笑った。
「その通りですね。ところで艦長」
ガルシャースプはアッディーンに対して尋ねた。
「何だ?」
彼は言葉を返した。
「この艦の名前ですが」
「艦名か。そういえばまだ決めていなかったな」
彼はふと思い出したように言った。
「はい。何にしますか」
オムダーマンでは艦名は艦長が名付けることになっているのだ。
「そうだな」
彼は考え込んだ。
「前の巡洋艦はアタチュルクだったしな。何か別の名にしたいな」
「では何に?」
ガルシャースプは問うた。
「そうだなあ・・・・・・」
彼は腕を組み考え込んだ。
「そうだ」
そして明るい顔で顔を上げた。
「アリーにしよう。伝説の英雄アリーだ」
「アリーですか。確かにいい名ですね」
ガルシャースプもそれを聞いて上機嫌な声で答えた。アリーとはムハンマドの娘婿で『神の獅子』とまで謳われた英雄である。また長い間イスラムの二大勢力の一つであったシーア派の開祖ともされている。
「そうだろう、これからの俺の戦いを共にするに相応しい名前だろう」
彼は満足気に微笑んで言った。
「そうですね。神の獅子が艦長のこれからの武勲を守護して下さるでしょう」
「そうだな。まあ俺は誰かに頼るということは好きじゃないが」
そう言って正面に身体を向けた。
「だがアリーよ、俺の戦いを見守ってくれよ」
そう言って二人は艦橋を後にした。そして今度は艦内をくまなく見回りだした。
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