第三部第四章 命運は決するその一
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命運は決する
サラーフの艦隊が動いたということはすぐにムスタファ星系にいるオムダーマン軍にも伝わった。それを聞いたアッディーンはすぐに各艦隊の提督達と参謀達を集めた。
「諸君、遂にサラーフが動いた」
アッディーンが席につく提督や参謀達に対して言った。
「やはり来ましたか」
参謀達は予想通りだといった態度で答えた。彼等とて馬鹿ではない。こうしたことは考えていた。
「ブーシルから援軍に来る我が四個艦隊を叩くつもりのようだ。ブーシルとこのムスタファの間に向かっている」
「問題は何処で襲撃を仕掛けて来るか、ですね」
副司令となっているガルシャースプが言った。
「そうだ、問題はそこだ」
アッディーンはその言葉に対し頷いた。
「シンダント准将、貴官はどう見るか」
「ハッ」
主だった参謀達は皆将官に任命されていた。シンダントはアッディーンに問われ席を立った。
「おそらくはオーレフ星系の辺りで攻撃を仕掛けて来るものだと思われます」
「オーレフか」
「はい、この星系が最もアルフフーフからの交通が容易ですし。そのうえアステロイド帯も多く襲撃を仕掛け易いかと」
「アステロイド帯か」
アッディーンはそれを聞いて考え込んだ。そして言った。
「今高速艦隊はどれだけあるか」
「高速艦隊ですか?」
アステロイド帯の話をしていたのにいきなり高速艦隊の名を出されたので皆戸惑った。
「そうだ、高速艦隊だ」
アッディーンはそれに構わず問うた。コリームアがそれに多少戸惑いながら答えた。
「私の艦隊がいけますが」
「あと私もです」
マトラが名乗り出た。
「そうか、二個艦隊か。あとは俺の直率艦隊もあるな」
アッディーンはそれを聞きながら言った。
「よし、すぐに発つぞ。行き先はオーレフ星系だ」
「は、はい」
提督達はそれを聞いて答えた。
「他の者はムスタファに留まっていてくれ。その間の指揮はガルシャースプ中将が執る」
「わかりました」
ガルシャースプはそれを聞き頭を垂れた。軍帽を被っていないので敬礼はしない。
「ではすぐに行くぞ。コリームア中将、マトラ中将、いいか」
「はい」
「わかりました」
二人は答えると席を立った。
「ではこれで決定だ。おそらくこれに勝てばサラーフで大きな動きが起こる」
それは政変を指し示していることは言うまでもなかった。
「これで軍議を終わる。アッラーよ、我等に勝利を!」
「アッラーフアクバル!」
彼等もムスリムである。アッラーのことは常に心の中にある。
その名を叫んで勝利を祈った。そしてそれぞれの任務に戻った。
すぐに艦隊が動いた。アッディーンは自らの率いる艦隊とコリームア、マトラの両艦隊を率いてオーレフへ向かった。
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