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星河の覇皇
第三部第三章 獅子身中の虫その六
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ては歯牙にもかけない連中だったのである。
 八条はテレビを見終わると仕事に取り掛かった。彼にとってはそうした輩よりも目の前にある多量の書類の決裁の方が遥かに重要だったのである。
 連合はこうしてその軍を着々と整備していっていた。それをエウロパは苦々しげに見ていた。
「奴等は次にはどう動くか」
 こうした議論がよくなされるようになった。そのまま連合内から動かないか、サハラに進むか。それともマウリアを併合してしまうか。
「マウリアはないだろう」 
 そうした意見が主流を占めた。マウリアとは長年に渡る盟友関係があり互いにその交流は深い。経済的にも密接な関係にある。それにマウリアの国力も意外と高くその地形も複雑である。連合が無理をして攻める理由も見当たらなかった。
 ではサハラか。これも今のところ考えられなかった。サハラ東方の大国ハサン王国とは同盟関係にある。それに彼等を通じて三角貿易も行なっている。彼等にとってハサンは重要な相手であった。
 従ってサハラも今のところ考えられなかった。サハラに連合の脅威となるような政権が誕生するか何か特別な資源が多量に発見されないかぎりは。
 では残る連合が取り得る道は二つである。
 まずは連合国内に留まる。今まで一千年に渡って動かなかった。今更動くとは考えられない、というものである。最も可能性の高いケースとして考えられた。連合は基本的に満ち足りており特に他国を攻める理由はない。しかしこれは確証がない。断言はできなかった。そして問題は最後のケースである。
 エウロパ侵攻。その整えた戦力で以ってエウロパに侵攻を仕掛けてくるというものである。連合とエウロパの国力差は人口、経済力共に三十倍の開きがある。その差は圧倒的であった。宿敵といっても最早その差は歴然たるものであった。やはり当初の人口の差と宇宙開拓での遅れが今だに響いていた。
「しかし我々にはニーベルング要塞群があるではないか」
 こう主張して安心しようとする者もいる。だがそれは不安の裏返しであった。
 実際にエウロパの者達が今まで最も恐れてきたことは連合の侵攻であった。だがそれは一千年の間なかった。しかし常に潜在的な脅威としてあった。
 ニーベルング要塞群がもし陥落したならば。その時はもう連合を止める手立てはなかった。エウロパの地形は平坦でありブラックホールもアステロイド帯も磁気嵐も殆どない。ただ星系が連なっているだけである。
 そこを大軍が雪崩れ込んで来たならばどうなるか。それは子供でもわかることであった。
「そのことで今本土は騒然としているようだ」
 マールボロは司令室においてモンサルヴァートに話した。
「当然ですね。もしそうなればエウロパは忽ち連合により蹂躙されてしまいます」
 モンサルヴァートは落ち着いた声で答えた。実際彼はそうしたケ
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