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星河の覇皇
第三部第三章 獅子身中の虫その五
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「どのようなお考えでしょうか」
「権威ね」
 彼女は答えた。
「権威ですか」
「そうよ。この前根回しした旧太平洋諸国だけれどね」
「はい」
「やっぱりまだ不満に思っているのよ、連合軍の存在を」
「やはりそうですか。実際旧中南米やアフリカ諸国の方が連合軍には協力的でしてね。我々も手を焼いているというのが現状です」
「でしょう?だから私は陛下に申し上げたのよ。貴方達がやり易いように箔をつけようって」
「箔ですか」
 実は八条はあまり箔というものが好きではない。そんなものより実力をつけることを優先させようという考えの人物なのである。軍人出身特有の考えだ。
「君はあまりそうしたものは好きではないようだけれど」
「はい」
 隠す必要はない。彼は率直に答えた。
「けれどね、政治の世界はちょっと違うのよね。ほら、権威主義ってあるじゃない」
「はい」
「そういうのに弱いところがあるのよ。実際に権威に弱い人も多いし」
 その通りであった。人はやはり権威があるとそれに対し身構えるところがある。権威主義を無視できる人も当然いるがそうでない人も多いのだ。
「そうした人達にはね、こうした勲章ってかなり効くのよ」
 実際に日本の天皇が与える勲章は連合各国でもかなり位が高い。アメリカや中国、ロシアといった国の勲章よりもだ。やはり大統領に渡されるより古い歴史を持つ皇室からもらった方が嬉しいものだ。
「それが胸にあるだけでも引く人はいるわ。それだけでかなり違うわよ」
「そんなものですかね」
「流石にアメリカや中国の大統領には無理だけれどね。けれど提督や省の次官クラスにはかなり効果があるわ」
「はあ」
 八条は珍しくわかったような、わからないような返事をした。
「そうしたクラスへの仕事がすんなりいくだけで今までとは全く違うわよ。まあこれからそれはよくわかるわ」
「そこまで仰るのでしたら」
 八条は納得してみせた。そして彼は首相官邸をあとにし地球へ戻った。
 すぐに大勲位を授けられたことは発表された。マスコミは殆どがそれをトップニュース扱いにした。雑誌やネットでも様々な議論が交あわされ多くの意見が出た。中にはこれは連合内での地位の向上を図る日本の深謀遠慮があると言った者もいた。
「合っているといえば合っているが」 
 八条は仕事の合間にネットを覗き込んで呟いた。
「そうしたことを考慮に入れない政治家はまずいないしな」
 その通りであった。やはり政治家は国益を第一に考えるものだ。ごく稀に例外もいるが。
「しかし我が国の地位はもう磐石たるものだが」
 そうであった。日本は連合設立以来のメンバーでありその国力も高い。アメリカ、中国、ロシア等と肩を並べる。その発言力もかなりのものであった。
「これ以上は望んでも上はない。まあ他の国
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