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星河の覇皇
第三部第三章 獅子身中の虫その五
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しなければならない。だが今や連合国内の治安を大幅に向上させた連合軍の支持は高く、また時代の流れもある彼等の支持は高かった。それに連合中央政府の軍の必要性は連合設立当初より言われてきたことであった。一千年も設立されなかった方がおかしかったのである。
 設立されなかった事情は各国がそれぞれ軍を持っていたからである。ことあらば彼等が一致団結すればよい、という意見も根強かったのである。またその軍の数だけでもエウロパやサハラ各国には充分な脅威であり外敵の心配はなかった。そう、外敵の心配がなかったのである。ここに連合軍不要論の根拠があった。
「エウロパもサハラ各国も我々を攻める力はない。各国の軍があればそれでいいではないか。宇宙海賊の取り締まりもそうだ」
 こうした意見であった。だが各国の軍はそれぞれの領域でしか動けなかった。連合は条約で各国の軍の相互の領域の交通を認めていたがそこで使用する設備の基準や補給の関係でトラブルが頻発した。各国はそれぞれの事情に合わせ兵器を開発していたのだ。これは当然のことであったが。
 だがそれが厄介な事態を招いた。兵器の互換性がないというのは致命的であった。徐々にそれも整備していったが時間がかかった。そしてやはり各国の縄張り意識というものが影響し連合内で軍は容易に自由に通行できなかったのだ。
 これが結局宇宙海賊の跳梁跋扈を許した。彼等は軍が来ればその軍の勢力圏外に逃げればよかったのである。その為海賊は中々根絶できなかった。
 連合が経済や貿易を優先させるということも影響した。軍港は普通の港とは違う。まず整備は港からで軍港のそれは遅れた。経済や通商、貿易のことは迅速に解決が計られるのに対して軍事はなおざりになりやすかった。こうして一千年もの間連合国内は軍事にあまり関心を持たずにいられた。宇宙海賊やテロリストの存在はあるが連合国内は食べるものにも職にも困らなかった。一旗あげたければ開拓地に行けばそれでよかった。少なくとも大規模な農園は持てる。こうした状況が軍の整備を遅らせる原因となった。
 宇宙海賊にしろ時代により増えたり減ったりする。これは当然である。事業に失敗して借金に追われたり何をしてでも大金持ちになりたいといった邪な考えを持つ者がその主流であった。もしくは他にいられる場所のない者か。そうした連中は何時でも何処でもいるものである。問題はこうした連中が正義やもっともらしい言葉を振りかざした場合である。
 そこに賛同する愚か者も出てくる。市民団体の一部である。厳密には彼等は真っ当な市民ではなく海賊と結託し彼等に金を貰っている犯罪の共犯者である。テロリストと結託している者もいた。
 こうした連中も連合軍の設立に反対し続けた。言う大義名分は見事なまでに美しかった。
『連合各国の自主性を汚すな』
 確かにそうした意見もあっ
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