第三部第三章 獅子身中の虫その三
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粗食で知られ軍服の裏が破れていても替えることなく縫ってまた着た。
その後日本の皇室の在り方を今尚指し示す天皇が即位した。
昭和天皇。明治天皇が『大帝』と称されるのに対してこの帝は『賢帝』と称されている。
若くして当時世界の政治、経済、そして文化の中心であった欧州を訪問した。そこで彼は立憲君主制に触れ生涯その立場を守り続けた。君主はどうあるべきか、それを最もよくわかっておられた方であった。
常に国民(陛下は最後まで臣民だと考えていたが)のことを案じ続けておられた。そして日本は世界においてどのようにあるべきか、そして皇室とはどうあるべきか。それを常に考えそれを行動により示し続けてこられた。その思慮深く慎重な性格と誠実な人となりが国民に愛され世界の尊敬を集めた。その彼が皇室の在り方を定めたのである。
帝の生活は質素であった。崩御の際その寝室をはじめて見た時の首相が大いに驚いたという。
帝の示された皇室の在り方はそれから皇室の範となった。そして今も残っているのだ。
「流石というか何というか。それ程偉大な方だったのだな」
彼はその昭和天皇について考えていた。前には案内役を務める侍従が歩いている。
廊下も檜である。一見火の回りが速そうであるがどうやらコーティングは為されているようだ。
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