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星河の覇皇
第三部第三章 獅子身中の虫その二
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「オムダーマン軍の動きは止まっているようね」
 大統領との会談の為地球に来ていた伊藤は八条と会っていた。
「はい、どうやらムスタファ星系に留まっているようです」
 二人は国防省の八条の執務室にいる。そこで話し込んでいるのだ。
「ムスタファで何をしているのかしら」
「どうやらそこを拠点にするつもりのようですね」
 八条は答えた。
「成程ね。アッディーン提督は今までの戦い方を見ていると迅速な動きんばかり好むと思っていたけれどそうでもないようね」
「はい、私もこれは意外でした」
 八条は答えた。
「サラーフの首都アルフフーフを一気に衝くと思ったのですが」
「距離があまりにも遠いのじゃないかしら」
「彼もそれはわかっていたようです。だからムスタファに拠点を築いたのでしょう」
「焦土戦術を敷かれながらもね」
「はい、多量の工作艦及び補給艦であの星系の昨日をあっという間に戻したそうです」
「考えたわね。その話を聞くとどうやら事前にある程度サラーフの焦土戦術を予想していたみたいね」
「はい、私もそう思います」
「戦略も見事だけれど勘もいいわね。政治家になっても通用しそう」
「待って下さい、彼はサラーフの人間ですよ」
「あら、それは私もわかっているわよ」
「どうでしょうか」
 微笑んだ伊藤に対して八条は苦笑で返した。
「けれどこれでサラーフの焦土戦術は頓挫したわね。このまま自国領へ引き摺り込むつもりだったようだけれど」
「それができないですからね。必然的に今サラーフでは焦土戦術の是非を巡って意見対立があるようです」
「そうでしょうね。で、どっちが優勢なの?」
「反対派が強いですね。マスコミの支持も受けていますし」
「そうなの。だとすると今の政権も軍の上層部も焦っているでしょうね」
「はい。どうやら軍を動かすようです」
「やっぱり。まさかムスタファ星系奪還とか?」
「それは無理でしょう。今あの星系には常時十二の艦隊が駐留しておりますから」
 八条はそう言うと三次元地図を机の上に広げた。
「私はサラーフが動くのは別のところにおいてだと思います」
「どこだと考えているの?」
「そうですね。どうやらオムダーマン軍はブーシル方面から援軍を送るらしいですし」
 八条はそう言いながら指でブーシル星系を指し示した。
「その援軍を狙うのではないかと見ています」
「成程、それならムスタファ星系を直接攻めるより戦果は期待できるわね」
「はい、それに地の利もありますし」
 彼等はサラーフの側に立って戦略を検証していた。
「それで戦果を得たら政権争いにも優位に立てます」
「そうすれば今の作戦を継続できるしね」
「はい。正直今のサラーフではオムダーマン軍の侵攻をまともに受けられはしないでしょう。勝てたとしてもそのダメ
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