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星河の覇皇
第三部第二章 緒戦その三
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た。
「選挙は何時行なわれるのだ?」
「あと二ヶ月後です」
「そうか、近いな」
 彼はそれを聞いて少し考えを巡らせた。
「その間に援軍は到着しそうか」
「それは微妙ですね。着くか着かないかといったところでしょうか」
「そうか。もしかするとサラーフはそれまでに一度攻撃を仕掛けてくるかも知れないな」
「何故ですか?」
 今度は参謀達が問うた。
「それだけナベツーラ達の追い上げがあっては今の政権も選挙前に何か功績をあげなくてはいけないだろう。さもないと選挙に敗れる」
「成程」
「ましてやナベツーラ派にはマスコミの全面的なバックアップがあるのだろう?只でさえ形勢は不利な状況にある」
「そうですね、今の政権も失脚したくはないでしょうし」
「そうだ、ならばどうして功績を挙げるか。最も手っ取り早いのは今ここにいる我々を破ることだ」
「はい、外敵を打ち破るのは最も宣伝し易い功績ですからね」
「それも大々的なものを狙ってくるだろうな。最低でも一個艦隊を殲滅といったところか」
「それはまた」
「当初は焦土戦術を執るつもりでもそうした状況では止むを得んだろう。彼等にとっては失策だがな」
 その通りであった。焦土戦術は相手の疲弊を誘う戦法である。こちらから仕掛けるのはまず敵が疲弊しきってからだ。そうでなくては効果がない。
「問題は何処に攻撃を仕掛けて来るかだ」
「補給路ではないでしょうか」
「それはないな」
 アッディーンはバヤズィトに答えた。
「おそらくそのような地味なものではなく宣伝になるようなものだ。確かに補給路には常時二個艦隊を配属させているが」
「ではこのムスタファに攻撃を仕掛けてくるのでしょうか」
「それも考えられるな」
 彼は答えた。
「だがそれよりも効果的な方法がある」
「何でしょうか?」
「援軍を叩く。ミドハド方面からやってくる援軍をな」
 彼は言った。ミドハドからカッサラを経由するのは時間と距離がかかる。それよりもブーシルからミドハド領を進む方がずっと速いのだ。しかもその道筋はすでにアッディーンが押さえている。
「二月でのここまでの到着は微妙なのだろう?だがサラーフ領に入るのは確実だ」
「はい」
「その彼等を待ち伏せする。そして叩く。戦果は期待できる」
「しかしこちらの援軍もそれなりの備えはしておりますよ」
「地の利は彼等にある。油断してはいけない」
「ハッ、そうでした」
 参謀達はアッディーンの言葉に姿勢を正した。
「ブーシルからここまでの航路の偵察を強化しろ。そして時が来たら動く」
「はい」
「これは援軍を救うだけではない。サラーフを自壊させる為の戦いであるということも忘れるな」
 どうやら彼は政治的なセンスも備えているようである。外交官から説明を受けただけでここまで発展させ
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