第三部第二章 緒戦その一
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た不思議な声であった。
「アッディーン提督もそうなるかな。それはやがてわかることだ」
彼はそこまで言うと身をハルシークの方に戻した。
「我等が動くのはそれを見極めてからだ。焦る必要はないぞ」
「ハッ」
ハルシークはその言葉を聞き姿勢を正した。
「だが動く時は・・・・・・。わかっているな」
「勿論でございます」
彼はその言葉に対し不敵に笑った。
「ならばよい。その為の備えは怠らないようにな」
「何時でも閣下が仰ればすぐにでも」
「フフフ、それでいい。優れた部下を持ち私は幸福だ」
彼はそう言うとハルシークを下がらせた。そして自室に戻って行った。
「さて、アッディーン提督よ」
彼は階段を登りながら一人妖しげな笑みを浮かべ呟いた。
「私を楽しませてくれよ」
そして部屋の扉を開けその中に入った。そのまま気配は扉の中に消えていった。
アッディーン率いるオムダーマンの大艦隊は敵と遭遇することなく迅速に兵を進めていた。そして星系を次々に占領していった。
「住民の反応はどうか」
彼は参謀の一人に問うた。
「今のところ問題はありません。援助物資を供給しその生活の安定を約束しております故」
その参謀は答えた。
「そうか、ならいい。くれぐれも彼等の生活に支障をきたすようなことは起こすな」
「わかりました」
彼は住民の反発を恐れていた。そこからレジスタンスの蜂起が起こる可能性がある。そうなれば後方が危うくなる。
「司令、一つお聞きしたいことがあるのですが」
ここでバヤズィトが尋ねてきた。
「何だ」
「この作戦において用意した補給艦及び工作艦のことですが」
「それか」
「はい、やはりこうしたことを考えてのことだったのでしょうか」
「そうだ、だがそれだけではない」
彼は答えた。
「それもすぐにわかる。すぐにな」
彼は思わせぶりに言った。
やがて彼等は目標であるムスタファ星系まだ残り僅かの場所まで到達した。
「やはりここにはいるか」
アッディーンはサラーフの艦隊がムスタファ星系の前に布陣しているとの報告を聞き思わず呟いた。
「その数は?」
「およそ十万です」
ラシークが答えた。見れば魚燐型の陣を組んでいる。
「そうか、ではすぐに叩くとしよう」
アッディーンはそう言うと右手をゆっくりとあげた。
「全軍上下左右に広く陣を組め。そして敵を三日月型に包囲せよ!」
「ハッ!」
アッディーンの指示の下オムダーマン軍は動いた。そしてその言葉に従い敵を囲むように陣を組んだ。
こうしてムスタファ星系での戦いははじまった。まずはオムダーマン軍の一斉攻撃からである。
忽ち数百の艦艇が破壊される。サラーフ軍はこれを受け一瞬怯んだ。
「今だ、進め!」
アッディーンがそれを見
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