第三部第一章 侵攻作戦その三
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な」
「はい、それによりオムダーマンが動いたのです」
「サラーフにとっては痛い敗北だったな。まあ自業自得だが」
彼はサラーフのホノグラフィの地図を拡げた。
「この戦い卿はどう見ている?」
彼はプロコフィエフに意見を求めた。
「そうですね」
彼女は地図を見ながら口を開いた。
「兵力はサラーフの方がまだ有利にはあります。ですがそれはあまり問題ではありません」
「では何が問題となる?」
「距離です。まずオムダーマンはサラーフの首都を陥落させなければなりません」
「アルフフーフをか」
「はい。ですがカッサラからアルフフーフの距離を考えますと一直線に向かうのは不可能です」
「そうだな。すると何処かに足掛かりを築かなければならない」
それはモンサルヴァートもわかっていた。
「問題は基地を置く場所です」
「何処がいいと思う?」
「ムスタファ星系です。カッサラにも近くまた交通の要地でもあります。ここを押さえるとオムダーマンはかなり優位に立つことができます。しかし」
「しかし?」
「サラーフも愚かではありません。何らかの手を打っているでしょう」
「そうだな。卿は彼等はどうした作戦を立てると思う?」
「そうですね」
プロコフィエフは問われ暫し考えた。
「焦土戦術ではないでしょうか」
そして表情を元に戻し答えた。
「焦土戦術か」
「はい、オムダーマンの矛先をかわし戦力を消耗させるにはそれが最も有効かと思います」
「アッディーン提督と正面から戦うのは危険だからか」
「それもあります」
アッディーンの名はエウロパにおいても広く知られるようになっていたのだ。
「ですが焦土戦術を執る理由はそれだけではないと思います」
「ほう、では何だ?」
「戦力の回復を待っているのではないかと思われます」
本来サラーフは二十四個艦隊を擁している。西方においては他を圧倒する戦力であった。だがオムダーマンがその勢力を急激に拡大させ敗戦によりその勢力は翳りを見せている。
「まずはオムダーマンの侵攻から消耗を避け彼等を兵糧攻めにしている間に兵を集めます。そしてオムダーマン軍が疲弊しきったところでその整え終えた戦力で攻撃を仕掛けるのではないかと」
「ふむ。まるでかつてのロシアの様な戦い方だな」
モンサルヴァートはそこまで聞いて口に手を当てて言った。ロシアは地球にあった頃敵が侵攻して来ると焦土戦術をとりその矛先をかわし敵の疲弊を待つのを常套手段としてきたのである。これによりナポレオンもヒトラーも敗れたのである。
「はい、雪こそありませんが戦い方はほぼ同じです」
「そうか。それではオムダーマン軍の苦戦は免れないな」
「おそらく」
「アッディーン提督は常に敵を即座に叩くのをよしとしている。おそらくそうした戦法には弱いだろう
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