第三部第一章 侵攻作戦その三
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さん達と上手くいっていないそうだね」
「ど、どうしてそれを!?」
実は彼には妹が五人もいる。美少女揃いという評判だ。
「い、いえ」
彼は急に畏まった。
「そのようなことは一切ありません」
「ではさっきの言葉は何だい?」
八条は彼をからかうように笑った。
「こ、言葉のあやです」
彼は顔を赤らめながらも謹厳な態度を必死に作った。
「たまには妹さん達にプレゼントでも買ってあげなさい。それに今日から休暇なのだろう」
「はい」
「ゆっくり休めばいい。骨休みも必要だ」
彼だけでなく秘書官も最近不眠不休で働き詰めだった。こうした休暇も必要なのだ。
「申し訳ありません。仕事に穴を空けてしまいますが」
「それは気にしなくていいよ」
八条は言った。あえて優しい口調で言った。
「これは私からのプレゼントだ」
彼はそう言うと側にあった可愛く包装された箱を取り出した。
「妹さん達にね。君からのプレゼントだと言って渡したらいい」
そこにはレターが挟んであった。『妹達へ』と書かれている。
「・・・・・・すいません、これ程までに」
「礼はいいよ。さあ、朝食が終わったらすぐに行った方がいい」
「わかりました」
こうして彼は休暇に入った。八条はそれを笑顔で見送った。
「さて、と」
彼は秘書官の姿が見えなくなると再び机に戻った。
「とりあえず私は仕事だな。休暇まで頑張るとするか」
机には山の様な書類があった。増えることはあっても減ることはない。
彼はその書類にサインを続けた。そして仕事を一つ一つ片付けていった。
連合においてはこの戦いは遠い場所のことであり特に気にかけるものではなかった。交易のあるサハラの国といえばハサン位でありそれも左程大きな交易ではなかった。今後のサハラ情勢を考えるにあたってどうか、という意見もあったがやはり戦いのシュミレーションを楽しんでいる者達の方が多かった。
だがエウロパでは事情が違った。彼等にとってはごく身近で起こる戦いでありそれによる影響を深く考察する必要があったのだ。
「どちらが勝っても国境を接することはないが」
モンサルヴァートは自身の司令室で地図を見ながら呟いた。
「この戦いにオムダーマンが勝った場合はサハラの勢力図が大きく変わることになる」
彼の前にはプロコフィエフが立っていた。
「はい、そして彼等の勢力はサハラにおける我々のそれを凌駕することになります」
彼女はいささか鋭い声で言った。
「そうだな。ただでさえハサンという大国もあるというのに。二つもそうした国が誕生すると厄介なことになる」
「既に北方においても我等の侵攻は停滞しておりますし」
「シャイターン司令か。あの男が来てからだ」
彼は顔を顰めさせた。
「サラーフの艦隊も殲滅したそうだ
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