第三部第一章 侵攻作戦その一
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「空母にしろそのシルエットは流線型になっている」
これもオムダーマンの艦艇の特徴である。空母は往々にして武骨な形になり易い。
「ですね。こうしたことは珍しいでしょう」
傍らに控える参謀の一人が答えた。
「我が軍は機動性を重視していますから」
「そうだな。そして攻撃力だ」
ハルシメルは腕を組んだまま言った。
「どれも艦にとっては必要なものだ。その分防御力は弱いがな」
「それでもかなりましになりましたね」
「多少はな。まあそのままよりはずっと有り難いな」
彼は自身の艦艇をそのままの姿勢で見ていた。艦隊は整然と並び銀河を進んでいる。
その隊列は河の様であった。そして虚空の中を進む。
「防御に関してはサラーフも大体同じだがな。サハラの艦艇の特徴か」
「ですね。ところで連合の艦艇ですが」
「おい、あんな別世界のことは言ってもはじまらないぞ」
彼はそう言って苦笑した。彼等にとって連合は全くの異境であったのだ。
「それはそうですが」
参謀はそう断ったうえで話した。
「ですが参考にはなると思いますが」
「確かにな」
それは事実だった。それを否定する程ハルシメルは愚かではなかった。
「そして連合の艦艇はどういったものなのだ」
「何でも防御力を重視しているようです。そしてダメージコントロールにかなり力を入れているとか」
「生存能力を第一に置いたか」
「はい。そして艦を大型にし全体的に火力も強いようです」
「そうか。大型か」
「ええ。何でもどの艦種も我が軍の艦艇の倍の大きさはあるとか」
「そして数を頼みにして戦うのか。宇宙海賊はそれで一蹴できるな」
「ですね。海賊を相手にするにはいささか過ぎるかと思いますが」
「そういえばそうだな」
彼は参謀に言われてふとそう思った。
「そこまでの性能だと我々やエウロパの艦艇も楽に倒せそうだな」
「そうですね。まさかとは思いますが」
参謀の顔が暗くなった。
彼等サハラの者が口には出さないが一つ怖れていることがある。それは連合の侵攻であった。
今彼等は北方をエウロパに侵略されている。だが所詮数が違う。多くの者はサハラが団結すれば彼等を容易に追い出すことができると考えていた。団結できるかどうかは別として。
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