第二部第五章 次なる戦いへの蠢動その二
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て来る。
「今度は憲兵本部からです」
秘書官がその書類を持って来た。
「そちらに置いてくれ」
彼はサインをしながら秘書官に指示した。
「わかりました」
彼はそれを聞くと書類を指定された場所に置いた。するとまたファックスが動きだした。
「やれやれ」
八条はファックスを見て苦笑した。
「よく壊れないな。人間でもここまで働くと過労で倒れてしまうけれどね」
「機械ですから」
「残念だけれどそれは答えにはなっていないよ」
八条はいささか的外れな返答をした秘書官に対して言った。
「ところで憲兵本部からの書類か」
彼はまたサインを終えた。まだ決裁を待つ書類は机の上に積まれているがふと声をかけた。
「はい」
秘書官は答えた。
「憲兵本部も何かと忙しいですから」
「だろうな。何しろ軍といえば荒くれ者も多いからな」
これは変わっていない。どうしても血の気が多い者が集まってしまう。その為物騒な事件も起こってしまう。そういったことを取り締まるのが憲兵だ。軍隊内の警察と言ってよい。
「まずはその書類を見たいな」
「わかりました」
秘書官はそれを聞くと憲兵本部からの書類を彼に手渡した。
「ふむ」
彼はそれを手に取ると中身を見た。
「軍律についての決裁か」
彼はそれを見て考え込んだ。
「どうなさいますか」
秘書官は読み終えた彼に対して問うた。
「これは厳しくすべきだな」
八条はやや素っ気なく言った。
「軍律は厳しくなくては。間違っても民間人に危害が及んではいけない」
そうしたこともままあることである。軍人が民間人に危害を加える怖れは戦時だけでなく平時においても常に危惧されていることである。
「そうした事件に対しては厳罰で挑め。そして徹底的にやるべきだ」
「わかりました」
「そのかわり他のところの待遇はよくする。給料も高くして厚生もよくしよう」
「はい」
「そうでないと志願者もいなくなるし士気にも関わる。金はかかるがこうしないと本末転倒だ」
「こうしたことを考えると軍というのは何かとお金がかかりますね」
「仕方ないさ。これも軍事の重要な環境整備だ」
環境整備、それは何も兵器だけではないのだ。後方のことも考えなければ軍は機能しない。
「サハラのように徴兵制にすればこうした問題もないが今更徴兵制というのもな」
「そうですね。時代遅れかと、いや」
秘書官はここで口調を変えた。
「連合の国情には合っていません」
連合はエウロパやサハラ諸国とは人口も国力も違っていた。それだけにもとの兵力も隔絶しているのである。だから特に兵を無理をしてでも集める必要はないのである。
しかもエウロパ以外とは緊張した関係にはない。宇宙海賊やテロリストの掃討がその主な仕事であった。
そうした作
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