第二部第四章 二つの戦いその二
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といえば常に地形を利用して戦うと聞いていたが」
サラーフ軍の司令はそれを見て不思議に思った。
「あれでは策も何も使えぬぞ。まるで挟み撃ちにしてくれと言わんばかりだ」
彼はまずアッディーンの奇略を警戒した。だがそうした気配は全く感じない。
「そもそもあの場所では何も出来ませんしね」
参謀の一人も首を傾げながら言った。
「伏兵の存在もないようです」
偵察隊からの報告が入った。
「そうか。では何も策がなくてあの場所に布陣しているのだな」
彼はその報告を聞いて頷いた。
「では兵を動かすとしよう。軍を二つに分けるぞ」
「ハッ」
兵が二つに分かれた。一個艦隊が分かれオムダーマン軍の後方に向かった。
「よいか、後方にきたところで敵を攻撃せよ。同時に主力も向かう」
「ハッ」
その一個艦隊はアッディーンに悟られぬよう慎重に迂回してその後方に向かった。
「気をつけろよ」
だが同時にアッディーンも動いた。サラーフ軍の主力が気付いた時には彼等はそれまでいた場所にはいなかった。
「まさか・・・・・・」
司令はそれを見て危機を悟った。すぐに後方に向かわせた艦隊の援軍に向かった。
だが遅かった。後方を狙わせた艦隊はオムダーマン軍の側面からの総攻撃を受けていたのだ。
「撃てっ!」
まずは一斉射撃が加えられる。無防備な側面にビームの帯が叩きつけられる。
忽ち数百の艦艇が破壊される。そして再び一斉射撃が加えられる。
これで敵艦隊の勢いは止まった。それを見過ごすアッディーンではない。すぐに突撃が指示された。
横からオムダーマン軍の艦艇が一斉に襲い掛かる。既に混乱状態に陥っていたサラーフ軍にそれを押し留めることは出来る筈もなく突入を許してしまった。
艦載機イエニチェリが襲い掛かる。そして艦と共同して敵艦を沈めていく。
敵を突っ切った。そして反転して再び襲い掛かる。
二度の突撃を受けサラーフ軍は壊走した。為す術もなく自軍の主力がいた方に逃げて行く。
「まずはこれでよし」
アッディーンは逃げて行く敵軍の背を見ながら言った。
「今度は敵の主力の番だ」
サラーフ軍は壊走してくる自軍を発見すると彼等と合流した。その数は半数にも満たなかった。
「優勢の敵に側面から急襲を受けたのだ、無理はないな」
司令はその傷付いた艦艇を見ながら悔しげに呟いた。
「どうやら下手な小細工はかえって損害を増やすだけのようだな」
「するとやはり」
参謀達が顔をこちらに向けてきた。
「うむ、正面から決戦を挑むぞ。兵力ではこちらの方がまだ上なのだしな」
「わかりました」
彼等はこうしてこちらにやって来たオムダーマン軍の正面に布陣した。アッディーンもそれに対し正面で構えた。
「さて、正面からの戦いとなったわけだが」
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