第二部第三章 魔王その三
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め三個艦隊は無事であった。だが残る一個はそうではなかった。
「すぐに援軍を!」
それが言葉であった。
「今敵の攻撃を受けております!すぐに援軍を送っていただけないと我が軍は・・・・・・」
そこで通信が途絶した。あとは何の連絡もとれなかった。
敵がこの星系にいて攻撃している、そう察した彼はすぐに全軍の集結を命じた。
そうして二個艦隊が集まった。残る艦隊は来ない。
「まさか・・・・・・」
そのまさかであった。僅か数隻がふらふらになりながらやって来た。
「移動中に後方から攻撃を受けました。艦隊は為す術もなく・・・・・・」
生き残った将兵は力ない声でそう言った。
「そして壊滅したというのか」
司令はそれを聞き震える声で言った。
「五個艦隊が壊滅するとはな。しかも僅か二日で」
「司令、ここは撤退されるべきかと」
幕僚の一人がそう進言した。
「そうだな、こうまで戦力が減ってしまっては」
彼はその進言を受け入れた。そして僅かに残った艦隊を撤退させることにした。
サラーフ軍は撤退を開始した。だがその時だった。
突如として後方から猛攻撃を受けた。
「まさか!」
旗艦にも衝撃が走った。艦橋は大きく揺れ司令は倒れた。彼はそれから立ち上がると顔を上げて叫んだ。
その危惧は当たった。シャイターン率いる艦隊が後ろから攻撃を仕掛けていたのだ。
「よし、このまま彼等を生かして返すな」
彼は艦橋に立ち全軍に指示を出していた。
「追い詰めよ。そして一兵残らず倒せ」
その指示は落ち着いているが内容はそうではなかった。将兵は逆にそれに奮い立った。
北方諸国軍は攻撃を続けた。サラーフ軍はそれにより数を大きく減らしていく。
「司令、如何いたしましょう!」
次第に破滅的な状況になっていく戦局を見て参謀の一人が問うた。
「クッ・・・・・・」
司令は歯噛みした。反撃しようにもそれは焼け石に水である。
「全軍撤退だ!こうなっては止むを得ん!」
彼は叫んだ。そして旗艦の艦長に言った。
「すぐに全速力で戦場を離脱せよ!このままでは我々も死んでしまうぞ!」
「は、はい!」
艦長はその剣幕に暫し呆然としたがすぐに我を取り戻し敬礼した。
旗艦はすぐに戦場を離脱しにかかった。司令自ら遁走したのである。他の艦もそれに続いた。
「逃げて行くな」
シャイターンは艦橋でその有様を見ながら笑った。
「追いますか」
ハルシークが問うた。
「当然だ」
彼は言った。それが合図となった。
諸国軍はさらに追撃を行なった。サラーフ軍はそれに対して逃げるだけで最早戦うどころではなかった。
それでも何とか半数の将兵がサラーフ領に逃げ込んだ。シャイターンはそれを見てようやく追撃を止めた。
結果としてサラー
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