第一部第一章 若き将星その二
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ダーマン軍は上下から回りこんだ。そして挟み撃ちにする。
オムダーマン軍の艦艇の特徴はその火力にある。これはサハラ諸国の中でも特に際立っていた。
その火力で攻撃を開始したのである。サラーフの艦艇は次々に炎に包まれ白い光となっていった。
「司令、もしかするとこれは・・・・・・」
参謀は次々と破壊されていく敵の艦艇を見ながらアジュラーンに言った。
「うむ、勝てるかも知れんな」
アジュラーンは薄く笑って答えた。彼は戦局が次第に自軍に傾こうとしていることを感じていた。
「戦場に残る兵力はどれ程だ?」
彼は別の参謀に問うた。
「ハッ、今退却せずこの場に残っているのは役百二十万程です」
その参謀は敬礼をして答えた。右腕を胸の高さで肘を直角にし胸に対して水平にするオムダーマン式の敬礼である。
「そうか、思ったよりずっと多いな」
アジュラーンはそれを聞いて笑みを浮かべて言った。
「作戦変更だ、一気に攻勢に転ずる。全軍突撃用意!」
彼は右手を挙げて言った。
「このまま敵を押し潰す。そして勝利を我等が手にするのだ!」
そう言うと旗艦を敵軍の方へ突入させた。他の艦もそれに続く。
それはアタチュルクからも確認された。
「艦長、我が軍が攻勢に転じました」
ガルシャースプはアッディーンに報告した。
「何、またそれは極端だな」
彼はその報告を聞いて思わず苦笑した。
「ついさっきまで撤退しようとしていたというのに」
「戦局が変わりましたからね。我が艦の行動により」
彼は表情を変えることなく言った。別に嬉しくもないような口調であった。
「そうか、ビームもミサイルも全て撃ち尽くしたらすぐに後退しようと思っていたのだが」
「そのわりには大胆な行動ですね」
「大胆!?別にそうは思わないが」
アッディーンは不敵に笑って言った。
「連中は傷付いた艦を狙おうと躍起になっていた。そこに油断が生じていた。その前にいきなり出て斉射すればその動きが止められると思ったからやったんだ」
彼はしれっとした口調で、しかし不敵に笑ったままの顔で言った。
「しかしあれだけの数の敵の前に一隻だけで出るのは自殺行為ですよ」
「死ぬとは思わなかったからな。奴等は俺を見ていなかったから」
彼は視線をモニターに映る敵の残骸に移して言った。
「だからああなったのだ。戦場において油断はそのまま死に繋がる。それを教えてやったのだ」
「えらくきつい教え方ですな」
ガルシャースプは言った。
「ああ。しかしガルシャースプよ」
「何ですか」
「それを表情を変えずに言うのは少し無気味だな」
「そうでしょうか」
やはり彼は表情を変えなかった。アタチュルクも攻撃の中に加わっていった。
戦局は完全にオムダマーン軍のものとなっていた。サ
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