第二部第三章 魔王その二
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る。それが到着し次第すぐに攻撃を仕掛けて来るだろう」
それを聞いた彼等の顔が暗くなった。
「だが心配する必要はない」
シャイターンはそんな彼等を宥めるように言った。
「私がいる限り彼等はこのエマムルドを手に入れることは出来ない」
かれはの声は自信に満ちていた。
「まずは彼等の後方を脅かす」
彼はそう言うと指揮棒でモニターに映し出されている両軍の陣を指し示した。
「我が軍の中から少数を選び出し彼等に敵の後方を襲撃させる。これでまずは補給線を脅かす」
それはオーソドックスな戦法といえた。
「そしてそれで彼等が疲弊したところで次の手を打つ」
彼は地図を再び指し示した。
「この陣地を棄てる」
「えっ!?」
これには皆驚いた。シャイターン直属の者達を除いて。
「話は最後まで聞くように」
彼は学校の教師のような言葉を出した。
「既に次の陣地は決定している。そこに撤退してさらに敵を誘い込むのだ」
「成程」
彼等はそれを聞いて一先納得したようである。
「だがそれだけではない」
シャイターンは言葉を続けた。
「この陣地にはトラップを多数置いておく。機雷や無人攻撃砲座をな」
「そして彼等に少しずつ損害を与えていくと」
「そういうことだ」
彼は言った。
「それを繰り返す。そして彼等の戦力が消耗しきったところで叩く。そうすれば如何に彼等の兵が多くとも怖れることはない」
「一気に戦いを決めるのではなく持久戦に持ち込むのですか」
「うむ。今まではエウロパに皆正面から挑んでいた。こうして正面からの戦いを避ける戦い方もあるだろう」
「はい」
まるで目から鱗が取れたかのようであった。彼等は今までエウロパとの戦いは正規戦が多かったのだ。これは彼等の巧みな戦略に誘い込まれそう仕向けられた向きもあるが。
「よいな、まずは正面からの衝突は絶対に避ける。襲撃を仕掛ける部隊も敵が来たならばすみやかに撤退せよ」
「ハッ!」
こうして北方諸国の作戦は決定した。そして彼等は守りを固め小部隊でエウロパ軍の補給線を襲撃していった。
「こうした戦い方をしてくるとは思わなかったな」
モンサルヴァートは補給線が脅かされていることを見て言った。
「すぐにパトロール及び護衛の数を増やしましょう」
プロコフィエフが進言した。
「そうだな。このままでは将兵の士気だけでなく物資の欠乏が起きてしまう」
彼とて補給の重要性はよく認識している。そしてプロコフィエフの提案をすぐに採用した。
これにより補給線への襲撃はかなり避けられるようになった。だが兵をそこに割いた為そこを北方諸国に衝かれる。今度は彼等は本陣に奇襲を仕掛けて来たのだ。
奇襲といっても全軍を以って来るわけではない。不意を衝き攻撃を仕掛け去って行くのだ。被害
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