第二部第三章 魔王その一
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しては勝てぬ。戦争における鉄則の一つである。
「そしてエウロパに勝つ。全てはそれからはじまる」
「というといよいよですな」
「そうだ、今まではしがない傭兵隊長に過ぎなかったがな。これから私の野望が現実となるのだ」
彼は凄みのある笑みを浮かべた。その整った顔がまるで悪魔のそれのようになる。
「期待しております」
「うむ、このサハラが統べるに相応しい者に統べられる。今まで長きに渡って誰も為し得なかったことだがな」
彼は笑みを浮かべたまま言葉を続ける。
「サハラ統一、それが遂に達成されるのだ、この私の手でな」
「はい、これでもう我々はエウロパや連合の後塵をきすることもありません」
エウロパには侵略を受け連合からは下に見られている。彼等はそれを内心屈辱に思っていたのだ。
「そうだ、そしてここに私は我が理想国家を築き上げる。その為には・・・・・・わかっているな」
「はい。このハルシーク、その為には全てを捧げましょう」
暫くしてサハラ北方諸国の兵権はシャイターンの手に握られることとなった。彼はそれを以ってまずは内部に潜伏しているエウロパの工作員達を炙り出した。
「かなりの被害が出ているようだな」
それはエウロパ軍の上層部にも伝わっていた。モンサルヴァートはプロコフィエフに対して言った。
「はい、同盟諸国の兵権があの男のものになってからかなりの損害が出ております」
彼女はその古代ギリシア彫刻のような官能的な顔を深刻なものにさせて言った。
「シャイターンによってか。どうやら謀略に強いというのは本当のようだな」
「はい。外交官達の周りにも不審な人物が動いているという報告があります。中には暗殺された者も出ております」
「そうか。外交官がそうだと工作員はより深刻な事態に陥っているのだろうな」
「既に各国で捕まる者や消息を絶った者が続出しております。内部に作り上げた諜報網もかなりの損害を受けております」
「壊滅と言っていいな」
「残念ながら。如何いたしましょう」
「諜報網まで損害を受けてはな。ここは退く方がいいだろう」
「撤収ですか」
「致し方あるまい。これ以上の工作はかえって危険だ」
「わかりました。それでは退かせるとしましょう」
「頼む。以後作戦を切り替える必要があるな」
「残念なことですが」
こうしてエウロパの作戦は大きく軌道修正されることとなった。彼等は事前の外交や謀略活動を打ち切りそのままオーソドックスな侵攻作戦に移ることとなった。
「問題は何処から攻めるかだが」
モンサルヴァートは提督や参謀達を集めて話をしていた。
「私はサンドリム連合から攻めるべきだと考えます」
プロコフィエフが提案した。
「サンドリムからか」
モンサルヴァートも提督達もそれを聞いて頷いた。
「確かにな。あの
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