第二部第三章 魔王その一
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てくれ」
シャイターンは彼を退かせた。そして部屋にハルシークと二人だけになった。
「さて、と」
彼はコーヒーを再び一口口に含んだ後口を開いた。
「エウロパの動きはどうなっている」
「ハッ、それですが」
ハルシークは主に促され話をはじめた。
「今は外交及び謀略に重点を置いているようです」
「そしてそれが既に功を奏してきている、と」
「はい。一国既に同盟から離脱しようとしております」
「マヤムーク王国だな」
「そうです」
マヤムーク王国はサハラ北方の国の一つである。これといって特徴のない小国である。
「規模としてはそんなに大きくはないが」
「一国でも同盟から離脱されると士気に大きく関わります」
「問題はそこだ。彼等を繋ぎ止めるなり大人しくさせるなりしなければならないが」
「それにはこちらも謀略を使うのがよろしいかと」
「いつものようにだな」
シャイターンはその言葉にニヤリ、と笑った。
「そうです。ではいつものようにやってよろしいですな」
「うむ。誰にも悟られぬようにな」
「それはお任せ下さい。慣れております故」
ハルシークは悪魔の様な笑みを浮かべて答えた。
「ではすみやかに頼むぞ」
「わかりました」
こうして二人は会議室を後にした。後日マヤムークの親エウロパ派の要人達が会食をしているレストランが謎の爆発により崩壊した。これによりエウロパと関係の深かったマヤムークの要人達は一掃された。
シャイターンの動きは速かった。彼はすぐにマヤムークに向かい国王と会談し今回の作戦における統帥権を譲り受けた。これによりマヤムークの兵権は全て彼の手に握られることとなった。
「マヤムークはこれでよし」
国王との会談を終えた彼はマヤムークで最も知られる高級ホテルのロイヤルスイートルームで昼食を摂った。
見ればかなり豪勢な料理ばかりである。マヤムークでしか獲れないかなり貴重な魚や動物を希少価値の香辛料で味付けしている。そしてそれが数十品も並んでいる。
その後ろに六人の将校達が並んでいる。階級は傭兵隊はそれぞれ独自の階級章を使用しているがシャイターンの隊ではそれは中佐をあらわすものである。
彼等は皆屈強な身体つきをしている。だがそれよりも目を引くのは彼等が黒い鉄の仮面を被っていることである。
シャイターンは彼等を後ろに従えたうえで悠然と食事を摂っている。そしてその前にはハルシークが控えている。
「はい、これで二ヶ国の兵権が閣下の手に入りましたな」
ハルシークは立っていた。そして頭を垂れて言った。
「そうだな。だがこれだけではまだ不十分だ」
彼は漆黒に近い赤の葡萄酒を口に含んで言った。
「全ての国の権限を私に集めなければな。この戦いは勝てぬ」
「その通りです」
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