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星河の覇皇
第二部第二章 狐の登場その三
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と髪の毛が抜けると言うじゃないか」
「単に遺伝の問題では」
「確かに我が家は先祖代々この頭だが」
「増毛とかはなさらないのですか?他にも治療方法はありますが」
 禿の治療方法は既に八百年前に確立されている。水虫もである。
「そういうのはあまり好きではないんだ」
 彼は苦笑した。
「髪の毛は先祖代々かからな。今まで誰も増やそうとしなかったし私もそういったことは好きじゃない」
「そういうものですか」
「うん。大体歳と共に自然と抜け落ちていくものだしな。個人差はあるが」
「とある役者は二十代から増毛していますがね」
「ハハハ、彼は見栄っ張りだからな」
 二人はエウロパで人気のとある二枚目俳優のことを話題にした。彼はデビュー当時から頭髪が薄かったが不思議と禿ない。だが髪の量が増えているので皆真相はわかっているのだ。本人もそれを知らないふりをしている。
「さて、と。私のこの眩しい頭の話はこれでお終いにしよう」
「はい」
「今回の作戦の進行状況はどうかね」
 彼はプロコフィエフが中心になって進めているサハラ北方各国に対する作戦の進行状況について尋ねてきた。
「ハッ、それですが」
 モンサルヴァートは敬礼をして答えた。
「只今プロコフィエフ中将が中心に各国の分断工作を進めております」
「そうか。それは順調かね」
「はい、今のところは」
「ならばいいがね。一つ気になる話を聞いたのだ」
「何でしょうか」
「メフメット=シャイターンという男を知っているかね」
「いえ」
 モンサルヴァートは首を傾げて答えた。
「そうか。私もよくは知らないのだが何でもサハラ南方からやって来た男らしい」
「サハラ南方からですか」
 南方はサハラにおいても特に複雑かつ障害の多い地形として知られている。そして各星系の勢力が強い。その為主導的な大国がなく多くの小国が互いにいがみ合っているのだ。
「そうだ。そこで傭兵隊長をしていたらしい」
「傭兵隊長・・・・・・」
 連合やエウロパにおいて傭兵というものは存在しない。志願制による市民兵を採用している。彼等の勢力を考えるとそれが最も妥当であった。
 だがサハラ各国は違う。殆どの国が徴兵制を採用し互いに争っている。それだけで足りない場合は傭兵を雇うのだ。
 オムダーマンやミドハド等の西方では傭兵はあまり使われない。これは彼等の国が傭兵を好まないからである。理由は徴兵した兵士達の方が信用がおけるという判断からである。それにそこまで兵士には困っていなかった。
 だが南方各国は違う。それぞれ小勢力で時には複数の敵を相手にする場合もある。従って徴兵された兵士達だけではなく傭兵を雇う場合もあるのだ。戦乱の続くサハラである。エウロパに追い出された者達もいる。傭兵のなり手には困らない。
 金は当然かかる。
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