第二部第二章 狐の登場その二
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「治安維持にあたる将兵達は精神的にも肉体的にも限界に達しようとしています。このままでは暴発するのも時間の問題かと」
「それはわかっている」
彼はそう言うと席を立った。
「だがそれでも我慢をしてもらわなくてはならない」
窓の方へ向かった。
「それにもうすぐ敵艦隊がこちらに到着する」
「はい」
「出撃の準備をしておかなければならないが」
「武器、弾薬及び燃料庫は厳重な監視のおかげで無事です。何度も襲撃を受けましたが」
「問題はこれからだ。運び出す時が最も危険だ」
「そうですね。特殊部隊の援助も頼みましょうか」
「特殊部隊はハルドゥーン達の捜索で手が一杯だろう。それは出来ない。そうだ」
アッディーンはここであることを思い出した。
「特殊部隊の増援はどうなったのだ」
「それでしたら」
シンダントはふと思い出し脇に抱えているノートを取り出した。
「予定でしたら明日到着ですね。約七千名」
「それだけいたらかなり心強いな」
「ですね。問題は指揮官ですが」
シンダントじゃそこで顔を顰めた。
「誰だ!?」
それはアッディーンも認めた。
「ハルヴィシー中佐です」
彼は溜息を漏らすようにして言った。
「随分不満そうだな」
アッディーンはそれを見て言った。
「閣下はご存知ないのですか」
「何をだ?」
「実は私は彼と同期なのですが」
「ではよく知っているな」
「ええ。悪い意味で」
その言葉からは好感は全く感じられなかった。
「士官学校の頃から素行が悪い男でして。浪費家で女好きで有名でして」
「それ位何処にでもある話だと思うが」
「限度があるのです。門限破りもしょっちゅうでしたし美人と見れば誰彼かまわず口説きにかかるし」
「ドン=ジョバンニか?」
モーツァルトのオペラである。演出はかなりおおがかりになっているがオペラは今でも上演される。モーツァルトはこの時代においても天才と称されている。
「そんないいものではありません。とにかく何に対してもいい加減な男でして」
「それでよく士官学校を退学にならなかったな」
「成績は良かったので。それも射撃や諜報活動は士官学校始まって以来だったとか」
「特殊部隊に入る為に生まれてきたような男だな」
「はい。ですが特殊部隊に入っても相変わらず酒と女に溺れているようです。全く同期の恥さらしですよ」
「だがそう言うわりには怒っていないな」
「まあ。彼には色々と世話になっていますし。一緒によく遊びましたし」
「ならいいじゃないか。で、ハルヴィシー中佐は何時来るのだ?」
「ええと・・・・・・」
シンダントはノートを調べた。
「今日ということになっていますが」
「そうか。来ると思うか。どうも時間にはルーズなようだが」
「微妙ですね」
その時ド
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