第二部第一章 策略その四
[1/3]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
ミドハド軍を倒したオムダーマンは治安維持の艦隊を残しその殆どをオムダーマン本土に戻していた。カッサラには更に駐留する艦隊を増やした。
ブーシル星系には特別に一個艦隊が留まっていた。アッディーンの率いる艦隊である。彼等はここでサラーフに備えると共にこの星系に潜伏しているであろうハルドゥーン元ミドハド連合主席を探していた。
「中々見つかりませんね」
司令部を置いたブーシルの旧政庁でアッディーンの部下達は司令の前に集まっていた。
「どこにも見当たらないようだな」
アッディーンも彼等の顔を見回して言った。
「はい。流石は狸親父と言われただけはあります」
アタチュルクが顔を顰めて言った。
「一体何処に隠れたのか。本当に上手く隠れてますよ」
シャルジャーの声は苛立っていた。情報参謀である彼にとって今の状況は我慢できないものである。
「苛立つ気持ちもわかるが」
アッディーンはそんな彼等を宥めるようにして言った。
「ここは落ち着いて探してくれ。焦ると向こうの思う壺だぞ」
「はい」
一同は彼のその言葉に気を少し落ち着けた。
「あと国境には気をつけておけ」
アッディーンは表情を引き締めて言った。
「サラーフの動きが妙だからな」
「確かに。既に多くの工作員が入って来ているという報告もありますし」
ガルシャースプが答えた。
「憲兵隊には抵抗組織と共に彼等にも警戒するよう伝えておけ。おそらく両者は繋がっている」
「はい」
ガルシャースプはそれに対し敬礼して答えた。
「各惑星間の監視は厳重にしろ。おそらく奴は惑星間を転々としているぞ」
「わかりました」
これに各分艦隊の司令達が敬礼した。
「とりあえずはこれでいいな」
アッディーンは考え込みながら言った。
「はい」
一同を代表してガルシャースプが答えた。
「だがこれだけではどう考えても不完全だ」
「ですね。これ位ではあの男は捉えることは出来ないでしょう」
「そうだ、やはり特殊部隊が必要だな」
アッディーンは顎に手を当てて言った。
「今首都から派遣されようろしているらしいですけれどね」
「果たして誰が来るのやら」
「我が軍の特殊部隊はそれなりに優秀ですけれどね」
「それはそうだが」
アッディーンはラシークの言葉に頷いた。実際にオムダーマン軍の特殊部隊は各国の間で定評がある。
「さて誰が来るか」
アッディーンは考えた。ブーシルは陰の戦いの舞台となろうとしていた。
当のハルドゥーンであるが彼は大方の予想通りブーシル星系に潜伏していた。
市庁のある惑星である。その辺境の寒村である。
そこは特にこれといった騒ぎもなくのどかで落ち着いた村であった。
その中の一つの小屋。そこに彼は潜んでいた。
「オムダーマン軍は
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ