第二部第一章 策略その一
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の将兵の士気は著しく低下しておりました」
「だろうな。アッディーン提督にあれ程派手に破られてはな。だがまだオムダーマンに対抗できる戦力はあっただろうに。補給上の問題もなかった筈だしまだ挽回はできた筈だ」
「士気の他にもう一つ問題が起こったのです」
「それは何だ!?」
「上層部が早々と諦めてしまったのです」
「ハルドゥーン主席がか?」
「はい。彼はジャースクでの敗戦を知るとすぐに降伏を受諾するよう強く主張したということです」
プロコフィエフは背筋を見事に伸ばしたまま言った。姿勢も完璧である。
「わからないな。彼はそんなに諦めのいい男ではない筈だが」
彼は策謀家として有名である。執念深い一面もあるとも言われている。
彼は何度か失脚している。選挙に敗れたこともあれば政争に敗れたこともある。しかしその度に甦り権力の座に返り咲いている。そして政敵に対し報復し裏切った者に対し復讐してきた。彼が主席の地位に着くまでに多くの生臭い政争や駆け引きがあったのである。
「今までの経緯があるからな。彼にしてはやけに諦めがいいな」
「姿もくらましましたし」
「そうだ。政府と軍に降伏を受諾するよう言ってな。それだけでも妙な話だ」
普通は政府の首脳が条約に調印してはじめて降伏が成立する。だが彼はそれを首相に押し付ける形で何処かに消えてしまったのだ。これは外交儀礼上許されないことであった。
「あの男ならこの程度のことはやるにしてもだ。自軍を捨ててまで何故隠れたのだ?」
「それ以上の切り札があるのかと」
「切り札か」
彼はプロコフィエフの言葉を聞き考え込んだ。
「軍以上の切り札か」
少し考えられなかった。
「一体何だ」
「レジスタンスかと」
「レジスタンス!?」
モンサルヴァートはそれを聞いて思わず声を上ずらせた。
「降伏したというのにか」
「認めなければよいかと。少なくとも彼は調印していないのですし」
「指示したとしてもそんな事は言っていないと言えば済むことだしな。あの男ならやりかねん」
彼は顔を顰めた。
「しかしそれだと無害の市民まで被害に曝すことになる。まあそんなことを気にするような男でもないか」
彼の権力志向の強さと今までの政敵へのやり方を見ているとそれはよくわかった。
「そうですね。それに彼等以上の切り札を持っていると思われます」
「それはまさか・・・・・・」
「はい、サラーフ軍です」
「やはりな」
彼はそれを聞いて表情を暗くさせた。
「外国の軍を自らの権力維持の為に使おうというのか」
「歴史上よくあったことです」
「それはそうだが」
それは売国奴と呼ばれてもおかしくない行為である。
「名目は何とでも言えますから。問題はありませんよ」
「しかし」
「彼には彼の言い分があるのでし
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