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ソードアート・オンライン〜幻の両剣使い〜 【新説】
アイズと【黒の剣士】の邂逅
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後書き
う。僕はプレイヤーを見捨てない」
「嘘だな、なぜならお前は俺になんの抵抗もしなかっただろ! お前が見殺しさえしなければ、みんなは、サチは……」
「それは、知っていたから。君が大切なモノを失って自暴自棄になっていると聞いたから、僕は君に殴られた」
「……。そうか、殴って悪かったな」
「いいさ、こんなものモンスターから受けるダメージなんかよりも軽い」
「なぁ、アイズ。俺はどうしたらいい……」
「強くなれ、強くなって彼らのような犠牲を増やさないようにすればいい。君はここから生まれ変わる。今まで以上に強くなる、より強く、より強く、そうすればいずれ僕さえも超えられる剣士になれる。君には、それだけの才能と心があるのだから」
「……」
あの時と同じような月だった。現実ではない、仮想の月。荒れた心を優しく優しく包み込む。前と違うのは、あれから幾月かの時間が経ったことと、キリトが大切なモノを失ったこと。
アイズは、許されないことをした。彼が、見捨てず助けていれば、彼らは生きていたはず。
それと、今回だけは、月に優しく包み込まれても、心に空いた穴だけは埋めれなかった。それだけ。
ここからキリトは強くなった、前よりも、守りたい人達を守れるようになるために、ただひたすらに剣を振り、迫りくるモンスターを次々になぎ倒す。
それを見るたびに、アイズの心は痛む。本人の意思とは別に、アイズを締め付ける。だが、アイズにはわかっていない。心は、今にも壊れそうで、脆く崩れさろうとしていることを。
目的は達成した。なぜだろう。痛い。何が。わからない。ならばどうする。今まで通りさ、今まで通り。仲間達と兄さんを倒す。それだけでいい。それだけで。でも、なぜこんなにも虚しさしか得られないのだろう。目的を達成して嬉しいはずなのに……。
少し、少しだけ疲れた……今は、少しだけ眠ろう。そうすれば、痛みも消えるかもしれない。
だけど痛みは、何時まで経っても消えはしなかった。
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