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ソードアート・オンライン〜幻の両剣使い〜 【新説】
アイズと【黒の剣士】の邂逅
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負の感情でさえも、人を強くするには十分だ。それに力を得るためには、負の感情のほうが役に立つ。
 とアイズは考えていた。それこそ、愛や友情なんて脆く崩れそうなもので強くなるなんて方が間違いなんだと。

 その瞳には、深い闇が見える。彼が力を得たのは、単なる遊び心。彼にとって現世はつまらないもので、兄を倒すこそが現時点での生きている理由であった。

 キリトが強くなるための犠牲。最初から彼らには不干渉を決めていた。それでも、見てみたいと思った。そして、見届けたいとも思った。一重に興味から。
 だが、それが彼の本心だったのだろうか疑問である。なぜか、アイズの目から溢れだしている涙。それをアイズは拭こうともしない。
 自分でも涙を流す理由がわからない。逃げたい、でも逃げる必要性がない。それに見届けないといけない、なぜ見届けないといけないと悩み続けた。

 人には、心が存在する。血を送り出すポンプなんかではなく、魂とも言われるモノ。アイズには、人としての心がないなんてことはない。
 あまりにも、特殊すぎる生い立ちに全ての行動に合理性を求めてしまう。それが、彼の心を奥に奥に押しやった。それが涙の訳。
 助けられるのに助けないという決断をして、死んでいく者達を見届ける。それは、彼にとっては償い。忘れない、忘れないぞと。心からの思い。
 わざわざ、ここに来る必要がなかった。人の死など誰も見たくない。たとえいくら憎い人でも、その人が死ぬ瞬間など見たくない。見ていても、死ぬ瞬間は目を逸らす。
 でも、アイズは見続けた。その戦闘を記憶するため、自分が間違っているか、正しいかなんてことはどうでもいい。ただ、死にゆく彼らに報いるためにただひたすらに一瞬も目を逸らさずに、瞼を閉じるなんてこともしない。
 
 全てが終わり、キリトが絶望の表情を浮かべながら去っていく。

 アイズは見届け、彼らが生きていた場所に持ってきていた花を一輪置く。

 「すまない、ありがとう」

 それだけ言うと、アイズもその場から去った。





 「前にお前が俺に言った言葉があったよな。何かを犠牲にしてでも強くなれと……その結果がこれなのか!!!」

 キリトはアイズを殴りつけていた。その場所は、かつて共に月を見上げた場所。避けれたが、避けなかった。普段ならば、避けて一撃は加えるアイズがなんの回避行動もとらずに殴られた。更にそのまま押し倒され、ただひたすらに殴られ続ける。
 殴りつかれたのか、キリトは馬乗りになっていたアイズから立ち上がり、すぐ近くに寝そべった。

 「キリト……、今回の件は、これかい? ただ殴るために僕を呼んだのかい?」

 「……。噂を聞いたんだ、アイズがギルドを見殺しにしたっていう噂を」

 「妙な噂だね、それは違
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