第一部第七章 壁と鉄槌その四
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「見事だ、よくここまで来てくれた」
この侵攻の総司令官であるメフメット=マナーマ上級大将が笑顔で彼を司令部に出迎えた。頭の毛が少し薄い男である。長い間参謀畑を歩いてきており艦隊指揮の経験は乏しい。しかし慎重な性格がいい方向に向かい今回の侵攻においては的確に進めている。
「有り難うございます」
アッディーンはその笑顔に対し敬礼を返した。
「貴官の合流は実に心強い。早速敵の主力を討つとしよう」
「はい」
アッディーンは応えた。
「敵は布陣する位置を変えたそうだな」
マナーマは参謀に対して尋ねた。
「はい、バンプール星系との境に移っております」
「そうか」
マナーマはそれを聞いて頷いた。
「では我々も動くとしよう。そしてそこで彼等を叩く」
「それについて良い策があるのですが」
ここでアッディーンが言った。
「それは!?」
皆その言葉に顔を向けた。
「はい、それですが」
彼は話しはじめた。一同それを聞くと大きく頷いた。
ミドハド軍はバンプール星系との境に布陣した。オムダーマン軍はそれを追う形でやってきた。双方互いに向かい合って布陣している。
「やはりいるか」
ミドハド軍はアッディーンの部隊を確認して言った。だが彼の部隊は後方に控えている。
「予備兵力ということでしょうか?」
「かもな。これまで三回の戦いを経ているし」
ミドハド軍の司令官はそれを見て言った。
「だが彼の動きには警戒しろ。一体何をしてくるかわからんぞ」
「はい」
彼等はオムダーマンの陣を見ながら話していた。
戦いはまずはオムダーマン軍の前進からはじまった。ミドハド軍はそれに対し主砲を向ける。
「撃て!」
指示が下る。それと同時に両軍は砲撃を開始した。
最初は互角であった。だが数の差が次第にものをいってきた。
オムダーマン軍はアッディーンの艦隊を入れて六個艦隊である。対するミドハド軍は合流した兵力を含めて七個艦隊になる。この差は大きかった。
「ここでは勝てるかもな」
戦局はミドハド軍に有利に進もうとしていた。彼等はここぞとばかり攻勢を仕掛けてきた。
「主砲一斉発射!」
司令の腕が振り下ろされる。それと共に光の帯が放たれる。
オムダーマン軍はそれに対して徐々に退きはじめた。ミドハド軍はさらに攻撃を強めていく。
「よし、どんどんやれ!」
勢いづいた彼等はそのまま押そうとする。オムダーマン軍はそれに対し退くばかりである。
「勝てるな」
ミドハド軍はそう感じた。そして攻撃の手を緩めなかった。
「上手い具合に進んでいますね」
それを見てほくそ笑む者がいた。アッディーンである。
「ああ。まさかこうまで順調にいくとはな」
彼はガルシャースプ達の言葉に対し頷いた。彼等は後方で待機
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