第一部第七章 壁と鉄槌その四
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しながら戦局を見守っているのだ。
「動くとしたら今ですかね」
「いや、まだだ」
アッディーンは獲物を見る猛禽類の目をして笑った。
「まだまだ引き付けてもらわなくてはな。動くのはそれからでよい」
「そうですか」
「だが動く時は一気に動くぞ」
彼の目が光った。
「そして戦局を一気に決める」
「はい」
彼等はまだ動かなかった。そして戦いを黙って見ていた。
「アッディーン中将の部隊は動きませんな」
ミドハド軍の参謀は後方で沈黙している彼等の部隊を見て言った。
「うむ。どうやら本当に疲れきっているのかもな」
司令もそれを見ながら言った。
「だがそれはこちらにとっては好都合だ。何しろ彼には本当に今まで散々やられたからな」
「はい」
「よし、総攻撃だ。このまま戦いを決めるぞ!」
「ハッ!」
ミドハド軍は攻撃の手を更に強めた。オムダーマン軍はまたもや退きやがてアッディーンの部隊のすぐ前まで来ていた。
「よし」
アッディーンはそれを見て頷いた。
「全軍動くぞ。右に行く」
「はい」
艦橋に集まっていた幕僚達は皆頷いた。
「今こそ勝機、勝利は我が手に!」
「ハッ!」
アッディーンの部隊は突如として動いた。友軍の後ろを右にかけていく。
「アッディーンの中将の部隊が動きました」
それはマナーマの司令部からも確認された。
「そうか、遂にな」
彼はそれを見て満面の笑みを浮かべた。
「よし、もうすぐ戦局が変わるぞ。もう暫く持ち堪えろ!」
「ハッ!」
オムダーマン軍は活気づいた。そしてその守りをさらに固めた。
これはミドハド軍も確認した。だが彼等はたかをくくっていた。
「フン、今更動いても遅いわ」
彼等はアッディーンの部隊を見ながらせせら笑っていた。
「もう戦局はこちらのものだ。精々無駄なあがきをするんだな」
彼等はアッディーンの部隊が友軍の援護に入るものだと思っていた。だがそれは違っていた。
アッディーンの部隊は反時計回りに動いた。そして友軍と合流せずにそのまま前に出た。
「何!?」
そしてミドハド軍の側面に来た。そこで艦首を一斉に左に向けた。
「今だ、撃て!」
アッディーンの右腕が振り下ろされる。そしてミドハド軍の横っ面をビームでおもいきり殴った。
「うわっ!」
忽ち一千隻近い艦が爆発する。そして動きが止まった。
「大変です、側面から攻撃を受けました!」
ミドハド軍はそれを受けて忽ち混乱状態になった。司令官もそれをはっきりと確認した。
「兵力を横に向けろ!」
彼はすぐに指示した。そして兵の一部をアッディーンの部隊に向けようとする。
だがアッディーンの動きは速かった。やはり反時計回りに動き攻撃を仕掛けながらミドハド軍の後方に回っていく。
「これ
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