第九十話 修羅王の拳
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これが彼女の判断だった。
「ここは。よけて」
「修羅王の攻撃をか」
「それ以外には。防ぐ方法はないわ」
修羅王の構えを見ての言葉であった。
「これはね」
「くっ、そうか」
「よけて」
躊躇いを見せる兄に対してまた告げる。
「そうじゃないと本当に」
「くっ、わかった」
「来たわ!」
そしてその時だった。
「修羅王の拳が!」
「くっ、速い!」
ただ威力があるだけではなかったのだった。速さもまたかなりのものだった。そのあまりもの速さにコウタは咄嗟に上に飛んだ。まさに紙一重だった。
「危なかったな」
「え、ええ」
あらためて兄の言葉に頷くのだった。
「本当にね」
「受けていれば命はなかった」
「そうよ。だから」
「このコンパチブルカイザーでもだ」
『その通りだ』
ロアがここでコウタに告げた。
『あの拳を受ければ間違いなく』
「わかった。なら!」
「どうするの、お兄ちゃん」
「一撃離脱だ!」
彼の出した結論はこれだった。
「それでやる。いいなショウコ!」
「そうね。それが一番ね」
ショウコもまた彼のその言葉に頷いた。
「それなら」
「ええ、御願い!」
「喰らえ!」
拳を放ったばかりの修羅王に対して突き進んでの言葉だった。
「この拳!これで!」
「来たか」
修羅王は迫るコンパチブルカイザーを見て言った。
「ならば来るがいい。異界の戦士よ」
「これを受けて無事で済むと思うな!」
コウタの言葉は虚勢ではなかった。
「これなら!」
拳を打ち込む。だが。
「なっ!?」
「えっ!?」
コウタもショウコも思わず呆然となったしまった。
「効いていない!?」
「コンパチブルカイザーの拳が」
「中々見事な拳だ」
受けた修羅王は彼等の拳を認めはした。
「だが。その程度でこの修羅王を倒すことは不可能だ」
「くっ、この拳でもか!」
「何て奴なの!」
「これが修羅王だ」
驚く彼等にフォルカが言ってきた。
「これがな」
「修羅王・・・・・・」
「何て力・・・・・・」
「一撃で倒せる相手ではない」
フォルカはまた言った。
「いいか、何度も拳を打ち込め」
「わかった」
「それじゃあ」
「受けろ!」
頷く彼等の横で今度はフェルナンドが修羅王に拳を打ち込む。だがそれも通じない。
「まだだ」
「おのれ!」
「その程度では我は倒せぬ」
「ならば!」
「よせ、フェルナンド!」
さらに拳を打ち込もうとする彼をアルティスが制止する。
「何っ!?」
「退け!」
「むっ!」
彼が叫んだその瞬間に咄嗟に後ろに跳んですんでのところでかわすことができた。丁度そこに修羅王の拳が横薙ぎに来たのである。
「今のを受ければ」
「そうだ。御前は死んでいた」
こう述べるアルティスだ
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