第八十九話 ミザルの最期
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第八十九話 ミザルの最期
「修羅王様」
「何だ」
宮殿の奥深くであった。
「ミザル様ですが」
「あの男のことか」
「はい」
男が前にいる巨大な石像に対して告げていた。
「何やら蠢いておられますが」
「よい」
声はその石像からのものであった。
「既に承知している」
「左様でしたか」
「そうだ」
見ればそれは石像ではなかった。人であった。岩を思わせる顔に巨大な体躯。それが彼を石像に見せているだけだったのだ。だが紛れもなくそれは人であった。
「既にな。そのうえでのことだ」
「そうだったのですか」
「我が座が欲しければそれでよい」
彼は言うのだった。
「それでな。修羅にとって法は何か」
「力です」
男は頭を垂れて答えた。
「力こそが正義であり法であります」
「だからだ。修羅王になりたければ予を倒せばよい」
傲然とした声であった。
「ただそれだけのことだ」
「そうでありましたか」
「そしてだ」
ミザルのことはどうでもいいようであった。
「フォルカ=アルバークだが」
「はっ」
話をフォルカにやってきたのだった。どうやら彼のことも知っているらしい。
「今どうしているか」
「神化しそれからですか」
「アルティスもあの男の下に走ったな」
「はい、それも」
またその傲然と立つ男の声に答える。
「その通りです」
「そして修羅王」
別の男が彼をこう呼んできた。
「私からも申し上げたいことがあります」
「どうしたか」
「そのロンド=ベルですが」
彼が言うのはロンド=ベルについてであった。
「既にこの宮殿の前にまで来ています」
「左様か」
「はい。かなりの数です」
「迎え撃つのは」
「ミザルとアルコだな」
「そうです」
またこの二人の名前が出て来た。
「もう出撃されました」
「わかった」
「そしてです」
「我等もまた」
「わかっておる。出陣の用意だ」
修羅王は厳然とした声で述べてきた。
「よいな。すぐにだ」
「はっ、それでは」
「すぐに」
彼等もそれに応える。
「かかります」
「その様に」
「フォルカ=アルバーク」
修羅王はその重厚な声でフォルカの名を呼んだ。
「来い。我の下へ」
彼を待ち望む声だった。
「そして見せるのだ。その拳をな」
彼もまた戦いを待っていた。そしてこの頃。宮殿を目の前にしたロンド=ベルは出撃準備にかかっていた。そこにはティス達もいた。
「ほら急いで」
ティスがデスピニスを急かしていた。
「敵は待っちゃくれないわよ」
「う、うん」
「こっちだよ二人共」
ラリアーも二人に声をかける。
「早く行こう。皆行ってるよ」
「ええ、わかったわ」
「そっちね」
「よし、御前等」
その彼にジャーダが
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