第八十四話 修羅の掟
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「何度でも言おう。御前を殺したくはなかった」
「くっ・・・・・・」
「修羅であっても。殺さなくてもいい筈だ」
これは修羅にとっては考えられないことだった。
「そうではないのか。あの時勝負はついていた」
「だから俺を殺さなかったというのか」
「そうだ。だからだ」
「戯言を」
やはり修羅である彼にはわからないことだった。
「ならば。今もだというのか」
「その通りだ」
「貴様がそう言うのならいい」
怒りに満ちた声を漏らした。
「しかし!俺は違う!」
「むっ!?」
「受けろ、このフェルナンドの拳」
全身に激しい闘気をみなぎらせる。
「機神轟撃拳!」
「なっ、あの拳は!」
「危ないぞ!」
ロンド=ベルの面々はフェルナンドの拳を見て驚きの声をあげる。
「フォルカ、逃げろ!」
「死ぬぞ!」
「いや」
だがそれを前にしてもフォルカは冷静な態度を崩さない。
「大丈夫だ。これなら」
「これなら!?」
「何だって!?」
「見切っている」
こう言うとすっと前に出た。そして。
「受けろ、フェルナンド」
「むっ!?」
「機神猛撃拳!」
技の名前を叫び激しい拳を繰り出す。それでフェルナンドの攻撃を弾き飛ばしそれと共にフェルナンド自身をも吹き飛ばすのであった。
「何だと・・・・・・!」
「あの時と同じだ」
フェルナンドを吹き飛ばしたフォルカは言う。
「貴様の動きは既に見切っている。それだけだ」
「くそっ・・・・・・!」
「去れ」
大地に叩き付けられるフェルナンドに対して告げる。
「闘いは終わった。貴様の負けだ」
「また俺に恥をかかせるというのか」
「違う」
このことははっきりと否定するフォルカだった。
「御前は俺の弟だ。だからこそ」
「ふざけるな!」
敗れてもまだフェルナンドはその激しい闘気をなくしてはいない。
「弟なぞ!肉親の情なぞ修羅には不要だ!」
「いや、違う」
フォルカが否定するのはこのことだった。
「それは違う修羅はただ戦うだけではない」
「修羅を否定するというのか」
「力と技だけではない」
彼は言う。
「それだけでは。だからこそ」
「・・・・・・この恨みは忘れん」
フェルナンドはまだその身体に怒りをみなぎらせている。
「決してな。覚えておけ」
こう言い残して戦場を離脱する。指揮官が二人抜けた修羅の軍勢はこれで大きく遅れを取った。そして今マグナスのアンドラスもまた。
「行くぜ!」
「アリオン、貴様!」
マグナスは憤怒の顔でアリオンを見据えていた。
「フォルカと同じく修羅を裏切るか!」
「裏切ったんじゃねえんだよ」
彼の言葉は変わらなかった。
「一旦抜けるだけだ」
「詭弁を!」
「詭弁じゃねえって言ってるだろ」
しかしここでもアリオンの言葉は変わ
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