第八十二話 デュミナスの答え
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ィスのその言葉に頷いた。
「もうデュミナスは死にました」
「そうよね、もうね」
「僕達はもう」
「親が」
「ですが。彼は生きています」
ラージはここで一見矛盾することを言った。
「生きているのですよ」
「馬鹿言わないでよ」
ティスは泣きそうな声で返した。
「死んだじゃない。どうしてそれで」
「生きているなんて」
「嘘です、そんな」
「嘘ではありませんよ」
しかし三人に対してまた言うラージだった。
「デュミナスは貴方達の中に生きています」
「あたし達の中に?」
「そうですよ」
ミズホは優しく微笑んで三人に告げた。
「貴方達の中にです。何時までも」
「何時までも・・・・・・」
「デュミナスのことが大切でしたよね」
「ええ」
「それは」
三人はミズホのその言葉にこくりと頷く。
「だから。悲しいんです」
「私達も」
「だからです。デュミナスは最後の力で貴方達を救った」
これがデュミナスの答えだったのだ。
「そのおかげです。貴方達は」
「あたし達は」
「それじゃあ」
「生きて下さい」
ラージもまた優しい言葉になっていた。
「人間として。これからも」
「ずっと。デュミナスのかわりに」
「デュミナスはね」
ティスはここで言うのだった。
「確かに間違いだったかも知れないわ。多くの人に迷惑かけてきたし」
「けれどそれでもデュミナスは」
「必死に自分を探していたの」
「完璧な人間なんていはしないさ」
今度言ったのは万丈だった。
「一人たりともね」
「一人たりとも」
「欠陥品って言ったよね、僕は」
「ええ」
ティスは少しむっとした顔になって万丈に答えた。
「そうだったわね」
「けれどそれは皆なんだよ」
「皆!?」
「僕だって。欠陥品なんだ」
このことをあえて言う万丈だった。
「皆同じ欠陥品なんだよ、人間はね」
「そうだったの」
「デュミナスは人間だったんだ」
万丈もまた今このことを言う。
「人間だったんだ。だから君達を愛し守ったんだよ」
「そうだったんですか」
「デュミナスは」
「そして君達も人間だよ」
万丈が次に言うのはこのことだった。
「君達もね」
「僕達も人間・・・・・・」
「そうなのですか」
「だから。生きて下さい」
またこのことを言うミズホだった。
「絶対に。何があっても」
「デュミナスの為に」
「・・・・・・わかったわ」
最後に頷いたのはティスだった。
「あたしは生きるわ、デュミナスの為に」
「暫くここにいることになるよ」
万丈はこのことも三人に話した。
「君達は。それでいいかな」
「ええ、それはもうわかってるから」
「暫く御願いします」
「これからのこと。考えさせて下さい」
「ああ、そうしろよ」
「そうしてね」
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