第八十話 嵐の海
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」
しかしデスピニスはそれでもこう答えるのだった。
「私は大丈夫だから」
「あんた、本気なのね」
「うん」
気弱そうだがそれでもこくり、と頷いてみせた。
「やれるわ。だからその間に」
「わかったわよ。じゃあ」
ティスもその言葉を受けて遂に折れた。
「任せるわ、ここはね」
「じゃあティス、行こう」
ラリアーがティスに声をかける。
「僕達だけでも」
「ええ、今からね」
こうして二人だけで行こうとする。戦局はその間にも修羅達が次々と倒れ援軍のデュミナスの軍も倒されていっている。今二人が行かなければどうしようもなかった。しかしだった。
二人がデスピニスを止めようとしたその一瞬が命取りだった。修羅は殆ど壊滅してしまいロンド=ベルの攻撃はデュミナスに向かったのだった。
「な、何て速さなの!」
「しまった!」
これにはティスもラリアーも思わず声をあげた。
「もう修羅を倒すなんて」
「そして僕達に来るなんて」
「このまま進め!」
シナプスが指示を出す。
「一気に押し切る!いいな!」
「了解!」
シナプスの指示に従いロンド=ベルは今度はデュミナスに攻撃を浴びせる。それにより彼等もまた忽ちのうちに壊滅状態に陥ったのだった。
既に修羅の軍は撤退を開始していた。
「俺が後詰だ!」
マグナスが名乗り出ていた。
「どいつもこいつも早く逃げろ!」
「おいおい、俺もいるぜ」
「俺もだ!」
アリオンとフェルナンドもそこにいた。
「フォルカ!決着は次だ!」
「次か」
「そうだ、今度こそ貴様を倒す!」
憎悪に満ちた目でフォルカを見据えていた。ここでも。
「それは覚えておけ!」
三人が後詰になり撤退していく。それを見たデュミナス達も撤退に移るのだった。
「ふん、消化不良ね!」
「神殿に戻ろう」
忌々しげな様子のティスにラリアーが言う。
「そしてそこで最後の決戦だ」
「ええ」
彼の言葉に頷いたのはデスピニスだった。
「デュミナスの為に」6
彼等も決戦の覚悟を固めた。彼等にとっての最後の戦いもまた迫ろうとしていたのだった。そしてロンド=ベルはシュウが送って来た補給物資を受け整備を済ませるとすぐに北上を再開させた。
その中でクスハはあるものを感じ取っていた。
「!?これは」
「どうしたんだ、クスハ」
「感じるわ、二人の気配を」
彼女を気遣って声をかけてきたブリットに答える。
「二人っていうとまさか」
「ええ、ラージさんとミズホさんの気配を」
こうブリットに答えた。
「感じたわ、確かに」
「そうなのか」
「神殿までもうすぐだったわね」
クスハが今度尋ねたのはこのことだった。
「確か」
「うん、そうだ」
「それならやっぱり」
深刻な顔になっていた。
「言わないと、一刻も早く」
「じ
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