新たな刺客
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「ッ!?」
後ろから気配と殺気。VRワールドではあり得ないものを本能が感じた瞬間、反射的に抜刀。後ろに回す。その剣を握った右手にワンテンポおいて重い衝撃が走った。俺はその衝撃に逆らわず後ろに逃げる。そして、攻撃が来た方を見て唖然とした
「プレイヤー……だと」
プレイヤー名、ライア。見たところ男。武器は大剣
「ちっ、不意討ちは失敗か」
「お前……何者だ?」
前にも言ったがここはクローズドな世界。一般プレイヤーが入れるわけがない
「俺か?俺はライア。見ての通り大剣使いだ」
「そんなことはわかっている。なぜお前みたいな一般プレイヤーがこの世界にいる?」
「まあ、こづかい稼ぎかな?」
「こづかい……?」
「ネットの掲示板に書き込みがあってよ。AMOに入って、リンってキャラクターを殺せば万単位で金をくれるんだと。というわけで……」
理解した。こいつは父親の回し者……か
「恨みはないが死んでくれや!」
大剣を上段に構えこちらに向かってくる。俺はこういうやつが嫌いだ。俺はVRMMOでは法律という枷が外れるためそいつの本性が出ると思っている。つまりこいつの本性は最低ってことだ
「はっ!」
「がふっ!?」
装備のグレードはあちらの方が遥かに上だが、技術や実力がついていけてない。剣閃もブレていた。足運びも覚束なかったし、ただ一直線に隙を全面に押し出したまま突っ込んできただけだったからカウンターを入れるのも簡単だった。具体的には左にズレながらすれ違い際に斬りつけただけだ
「なんで……。なんで、当たらねぇんだ!」
むしろそれは必然だろう。剣の腕が絶望的だ
「ちっ、ちくしょう。だったら……」
ん?何か有るみたいだが……。そして次の瞬間
目の前からライアが消えた
「はっ?」
後ろから気配。それを感じて飛び下がりながら振り向いた俺は思わず気の抜けた声を出してしまった
……だって……
…………
……地面に埋まってたんだぜ?
「えっと……?」
「笑いたきゃ笑えよ」
下半身が完全に埋まり動けなくなったライア。超能力はテレポートらしい。つまり……
「失敗したのか」
「やかましい!決まってればおまえは今ごろ死体だぞ!」
「たら、れば、の話をしても埒があかないだろうが……」
バタバタもがいてるが抜け出せる気配が全くない。……もう一度能力を使えば抜け出せると思うんだが……。まあ、さらに埋まる可能性はあるが。やがて、諦めたのかもがくのをやめて
「殺せよ」
物騒なことを言いだした
「今回は俺の負けにしといてやる。だからさっさと殺れ。負けたんだ。それくらいは覚悟してるさ」
……かっこい
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