第十八話 トイレの花子さんその六
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そのトイレの扉のうちの一つ、奥から数えて二番目の扉の前に来た。見ればその扉は閉まっていて誰かがいる感じだった。
二人でその扉の前に来てまずはだった。
愛実が扉をノックして中に尋ねた。
「誰かいるの?」
「・・・・・・・・・」
返答はなかった、全くだ。
愛実はそのことを確認してから聖花に顔を向けて尋ねた。
「それじゃあね」
「ええ、尋ねてみましょう」
「そういうことでね」
二人で言い合う。そしてだった。
愛実はあらためて扉をノックして中に尋ねた。
「花子さん?」
「何?」
即座に返事が返ってきた。
「何か用?」
「あっ、やっぱりいるのね」
「いるも何も自分達から来たんじゃないの?」
トイレの個室の中から行ってくる。
「そうでしょ」
「あれっ、わかるの」
「わかるも何も見てたから」
「見てたって」
「こっちのおトイレに来るのをね」
それを見ていたというのだ。
「私に用があって来たのよね」
「用があってっていうか会いに来たんだけれど」
まだ扉は開かない、愛実はそのトイレの中の花子さんに対して言う。
「そうだけれど」
「そうなのね。あんた達の話は日下部さん達から聞いてたけれど」
「会うのははじめてよね」
「扉開けるわよ」
花子さんの方から言ってきた。
「そうしていい?」
「ええ、というかね」
愛実は聖花に横にいてもらいながらまだ姿を見せない花子さんに対して言った。
「会いに来たから」
「ついでに泉も探してるのよね」
「そうだけれど」
「よし、じゃあ今から扉開けるから」
花子さんはまたこう言った。そしてだった。
扉が開いてそこから小学校四年位の黒いおかっぱ頭の女の子が出て来た、頭の後ろには赤い大きなリボンがあり肩から吊る形の赤いスカートに白いブラウスを着たやや吊り目の女の子だ。その女の子が二人に対して名乗る。
「私が花子さんよ」
「はじめまして」
「宜しくね」
「あんた達の名前はもう知ってるから」
つまりお互いに知っているというのだ。
「おトイレで見てたしね」
「えっ、私達のことを?」
「見てたの」
「そうよ、見てたのよ」
そうだったというのだ。
「私女子トイレの中なら何時でも何処でも行けるからね」
「何かそれって」
「そうよね」
二人は花子さんの話を聞いて顔を見合わせて話した。
「頑張り入道さんと一緒よね」
「おトイレの中を自由に行き来出来るって」
「じゃあやっぱり花子さんって幽霊じゃなくてね」
「妖怪なのかしら」
「そうよ、私妖怪よ」
花子さん自身もこう答える。
「幽霊じゃないわよ」
「あっ、やっぱりそうなの」
「妖怪なの」
「私が出て来た経緯のお話は聞いてるわ」
花子さんはトイレの個室の中
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