第一部第六章 疾風怒涛その二
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艦我に続け!」
その艦隊の先頭を行くコリームアが叫んだ。彼は真っ先に敵の部隊の中に踊り込んだ。
「コリームア提督の部隊を援護せよ。全艦砲門を敵に向けよ!」
アタチュルクは友軍を援護するように言った。そして彼の部下達はそれに従いコリームアの艦隊が突入するところに砲撃を浴びせた。
後方と側面、両方から突撃を受けたミドハド軍は壊滅状態に陥っていた。最早それは戦闘と言えるものではなかった。
撃沈される艦、降伏する艦が相次いだ。しかしその中でも果敢に戦う者達もいた。
「まだだ、まだ負けたわけではない!」
突入するオムダーマン軍の前にいる一隻の戦艦の艦長が叫んでいる。
「敵の攻撃に耐えよ、そして反撃の時を窺うのだ!」
彼は部下達に命令する。砂色の髪に鳶色の瞳を持つ均整のとれた身体つきの人物だ。顔は美男子といってもよいだろう。
「アガヌ艦長、司令からのご命令です!」
オペレーターが叫んだ。
「何だ!?」
彼は名前を呼ばれそれに顔を向けた。
「全艦退却せよ、とのことです」
「そうか」
彼はそれに対し少し消沈した声で応えた。
「ことここに至っては止むを得んな」
「損傷の激しい艦から戦場を離脱するように、無傷の艦はその退却の援護をするように、とのことです」
「了解した。ならば一人でも多くの友軍を助けるぞ!」
「ハッ!」
部下達はその言葉に対し敬礼した。
ミドハド軍は撤退を開始した。まずは損傷の激しい艦から戦場を離脱していく。
「逃がすな、一兵残らず撃破せよ!」
オムダーマン軍はそれを追おうとするが出来ない。ミドハド軍の防衛は思ったより固かった。
「特にあの戦艦の動きがいいな」
ニアメは前線で友軍のフォローをしながら戦う一隻の戦艦を指差して言った。
「はい、敵ながら見事です」
彼の副官もそれを見て言った。
「あの艦の艦長は誰だ」
それはミドハド軍の司令からも見えていた。
「フラーグ=アガヌ大佐です」
参謀の一人が答えた。
「そうか、アガヌ大佐か」
彼はその名を聞いて頷いた。
「この戦いで生き残ることが出来れば名のある人物になるだろうな。見事な動きだ」
彼の乗る旗艦も戦場を離脱した。そしてミドハド軍は戦場から完全に撤退した。
サルチェス星系における戦いは終わった。参加兵力はオムダーマン軍が約一五〇万、ミドハド軍が約二二〇万、損害はオムダーマン軍が十万に達しなかったのに対してミドハド軍の死傷者は六十万を越えた。そして多数の捕虜を出しサルチェス星系をオムダーマン軍に明け渡す結果となった。
「敵は何処に撤退した」
アッディーンはガルシャースプに尋ねた。
「ケルマーン星系に向けて撤退しているようです」
「そうか、ケルマーンか」
彼はそれを聞いて頷いた。ケルマーンはサ
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