第二十話 触手
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ことなく人をキュンメル男爵に張り付けられますか?」
「キュンメル男爵をリスナーに知られることなくですか……」
意外そうな口調だな、爺さん。
「誰にも知られたくないんです」
「なるほど、海賊屋敷を動かせば周囲に知られますからな、だからウチを動かす……。やろうと思えば出来ますが……」
海賊屋敷を監視する人間達、それを動かす……。
「急ぎます、何時からできます?」
「やろうと思えば明日からでも出来ます。しかしキュンメル男爵にそこまでの価値が有りますか?」
気乗りしない口調だな。気持ちは分かる、出来れば動かしたくないよな、周囲にバレるような事はしたくない。
「キュンメル男爵はローエングラム公に会おうとしているようです」
「……それが」
「男爵は動けない、会うとなればローエングラム公がキュンメル男爵邸に行くことになる。男爵はフロイライン・マリーンドルフの従姉弟です」
「……」
「キュンメル男爵を唆す誰かが居るかもしれない」
爺さんがギョッとしたような表情を見せている。
「……親っさん、まさかとは思いますが、親っさんは……」
「まさか、ですよね。しかし……、今ローエングラム公に死なれると痛い。そうは思いませんか?」
「確かに痛いですな。なるほど、親っさんが何を心配しているかが分かりました。さっそく人を張り付けましょう、明日とは言わず今日にでも」
カーンはチラッと俺を見て一礼すると部屋を出て行った。どうやらまた忙しくなりそうだ。
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