第二十話 触手
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いる。出直そうかと思ったが親っさんが報告を聞きたがった。親っさんの執務机の前に立ち一人ずつ報告だ、先ずは俺からだ。親っさんが関心を示したのは寝たきり男爵の事だった。
「それでキュンメル男爵がどうしました?」
「また発作を起こしたそうです。そろそろ本当に駄目じゃないかって……。その所為かもしれませんが金髪と会いたがっているとか。最後の望みなんですかね、ちょっと可哀想な気もしますが……」
「……」
あ、親っさん、何か考えてるな。
「親っさん、キュンメル男爵領の物産ですが押さえますか。今なら未だ何処も動いていないと思いますが……」
親っさんが首を横に振った。
「無駄でしょう。あそこはマリーンドルフ伯が管理しています。キュンメル男爵が死んでも混乱は生じない」
そうだった、あそこはお嬢様のところと親戚だったな。ていう事は金髪に会うのも実現するか。……最後くらい望みを叶えてやりたいぜ、ずっと寝たきりなんだからな。親っさんもそれを思ったんだろうな。俺が終わると次はウルマンだった。フェザーンの報告をし始める。
「黒狐が坊主と会っているという記事が出ています」
「坊主……」
「地球教の坊主だそうですが……」
ウルマン、自信なさげだな。まあ確かに妙な話ではある、黒狐と坊主か……。あれ、親っさん、また考えてるな。ウルマンがホッとした様な表情をしている。
「他には有りますか?」
「フェザーンでは中間貿易の旨味が段々無くなっていると言う記事が出ています。大手はともかく中小の輸送会社、個人の交易船は輸送費の割に利益が出ないと。同盟内部か帝国内部での交易に専念した方が利益は出るかもしれないと有りますし業界再編に拍車がかかるだろうともあります」
ウチが価格を下げているからだな。まあその所為で先日の騒ぎも有ったわけだが……。
「おかしいですね」
親っさんが呟いた。おいおい、なんか有るぜ。ウルマン、ルーデルと視線を交わした。二人も緊張している。
「フェザーンの自治領主という仕事は忙しいはずです。まして今はフェザーンにとっては苦難の時と言って良いでしょう。こんな時に地球教の坊主と会う……。気になりますね」
言われてみれば確かにそうだな。
「フェザーンの事務所に注意を呼びかけましょうか」
ウルマンが進言すると親っさんが頷いた。
「そうですね、そうしてもらいますか」
「はい」
ウルマン、嬉しそうだな。自分の見立ては間違っていなかった、そう思ったんだろう。なるほどな、一つ一つは???だが二つを結びつければ確かに変だぜ。この辺り、俺達はまだまだ親っさんには及ばねえ。少しでも追いついて力になりたいもんだ。
ウルマンが終わるとルーデルが辺境について報告を始めた。もっとも辺境はあまり大したことはねえ。直ぐに終わって親っさ
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