第一幕その三
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畏まって答えた。彼の影は揺れてはいないが何故か夫人の影は揺れている。まるで生き物の様に。キャンドルの光がそうさせていた。
「王も来られます」
「王も」
夫人は王と聞いてはっとした。スコットランド王ダンカンのことである。言うまでもなくマクベスやバンクォーの親族でもあるのだ。
「はい、左様です」
「では陛下に相応しいおもてなしをしなければなりませんね」
夫人は表面上はごく普通の様子であり続けた。
「すぐに準備をしなさい。いいですね」
「はい、わかりました」
召使はその言葉に頷く。そうしてすぐに部屋を後にするのだった。
夫人はまた部屋に一人になった。そこでキャンドルの光に照らされたまま一人呟くのであった。やはりその影は不気味に揺れていた。
「ダンカン王がここに来る。これはまさに予言通り」
彼女もまた魔女の予言を反芻した。しかしそれは夫のそれとは全く違っていた。凄みのある笑みがそれをはっきりと映し出していた。
「さあ目を覚ましなさい地獄の精霊達。いざ私を悪の道へ。そして」
さらに言う。
「私のその野望を闇で覆うのです。誰にもわからないように」
そうしてマクベスを出迎えに行く。二人は部屋に戻り話に入るのだった。
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