第一幕その二
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第一幕その二
「おめでとう、コーダーの領主よ」
「おめでとう、スコットランドの王よ」
「スコットランドの王だと」
マクベスはその言葉を聞いて顔を顰めさせた。無意識のうちに。
「マクベス殿」
バンクォーはマクベスのその顔を見て彼に声をかけた。
「どうして驚かれるのですか?魔女共の言葉にしろめでたいことではありませんか」
「ううむ」
実はマクベスはかなり貴い血筋にある。場合によってはスコットランドの王にさえなれるのだ。バンクォーもそれがわかっているからこそマクベスが顔を顰めさせたのを怪訝に思ったのだ。
「それでもどうも」
「では次は私が」
今度はバンクォーが彼女達に問うのだった。
「私の未来がわかるか?気が触れていなければわかるな」
「勿論だ」
「貴方もとても運がいい」
魔女たちはバンクォーに対してそう述べた。
「王の父になる」
「スコットランド王の父に」
このバンクォーもまた貴い血の持ち主だ。やはり王になれるのだ。
「私が王の父だと」
「そう」
「その通り」
魔女達は彼にも答える。暗い声だがそこには何も言わせない絶対的な強さがあった。まるで地の底から言い伝えられるようにだ。
「だから幸せだ」
「幸せなる王の父よ」
「わからん」
バンクォーはその言葉を聞いても信じていなかった。首を傾げる。そのせいで横にいるマクベスが暗い顔で彼を見ているのには気付きはしなかった。
「ではまた会おう」
「マクベス、スコットランドの王よ」
魔女達はその姿を霧の様に消しながらマクベスに声をかけてきた。
「まあ会う。その時にまた」
「伝えよう」
そういい残して彼女達は消え去った。後にはマクベスとバンクォーが残った。
「何なのだ」
「あの魔女達は」
二人にとっては現実の言葉とは思えなかった。だがそれが間違いなく現実であることは彼等自身がよくわかっていた。その耳に残る言葉から。
「マクベス殿」
バンクォーが彼に声をかける。
「御聞きになられましたな」
「はい」
マクベスは彼のその言葉に頷いた。
「貴方がスコットランドの王になると」
「そして貴方が王の父になると」
マクベスもまたバンクォーに告げた。
「確かに言っていました」
「ええ、確かに」
バンクォーもまた頷いた。それは確かな言葉であった。
「その前に」
「私がコーダーの領主になると。これは」
「マクベス殿」
その時だった。後ろからマントを羽織った男達が来た。見れば王の使者達であった。貴族のロスとアンガスである。
「どうした?」
「王からの伝令です」
ロスが述べる。
「陛下からか。何だ」
「この前のデンマークとの戦いの功績により貴方をコーダーの領主に任ずるとのことです」
「何っ」
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