第四幕その四
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第四幕その四
「敵か」
「いえ」
だが彼はマクベスのその問いに首を横に振る。そうして述べる。
「森が動いたのです」
「森がだと」
「そうです、バーナムの森が」
「何と・・・・・・」
その言葉を聞いたマクベスの顔が愕然となる。影が薄まった。そしてその薄まりは戻らなかった。
「バーナムの森が動いたのか。馬鹿な」
「いえ、確かに」
伝令は確かに彼に伝える。
「森が動きここに迫っております」
「全てはそういうことだったか」
マクベスが愕然とした顔で呟いた。
「魔女達の思惑通りだったのか」
「魔女!?」
「何でもない」
家臣達には答えなかった。
「行くぞ」
力ない声で一同に告げた。それでも。
「よいな、死か勝利か」
彼は言う。
「勇敢な兵士達よ、そのどちらかを選ぶのだ」
「無論それならば」
「勝利を」
彼等は何も知らない。だからこう言えた。
「武器を手に!」
「そして勝利を我等の手に!」
高らかに叫び戦場に向かう。今最後の戦いがはじまった。
両軍はマクベスの居城の前で激突した。森に化けていたマルコムの軍勢は今はその姿を完全に現わし果敢に戦っていた。
「マクベスを倒せ!」
「今こそ!」
「無駄なことだ」
マクベスも戦場にいた。そこで巨大な剣を振り回し群がる騎士達を退けていた。
「わしは誰にも倒せはせぬぞ」
「戯言を!」
そこに一人の若い騎士が来た。
「マクベス!スコットランドの敵よ!」
「わしがスコットランドの敵か」
暗い目でその若い騎士に目をやった。
「では御主は何なのだ?」
「義に生きるイングランドの者!」
彼は高らかにそう名乗った。
「シェアードだ!」
「そうか、あのシェアード卿の息子か」
それを聞いても何とも思わなかった。
「御主ではわしは倒せぬぞ」
「ならばそれを覆してやろう」
シェアードは剣を手に前に出て来た。
「この私が」
「無駄なことだ」
そう言うと剣を一閃させた。シェアードは盾でそれを受け止めたが衝撃で吹き飛ばされてしまった。
「うぐっ」
「ふむ、命拾いしたな」
マクベスは吹き飛ばされた小シェアードを見て呟いた。
「盾に感謝するがいい」
「まだだ!」
だが小シェアードはそれでも立ち上がってきた。
「貴様を倒すのは私だ!」
「まだ来るか。それなら今度こそ」
「いや、待たれよ」
そこにもう一人来た。
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