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時記(Toki) ~Time of knowable illusion~
プロローグ 〜歴史誕生〜
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歴史誕生
生ける者は邪を含む血の支配を受け、
内側より迸る狂気が国郡を包み込んだ。
眼に見える全てを誤認する迄に混濁した人々の心は、
親と子、友人同士、そして愛を誓った者達の間にさえ、
争いを促す因と成り果てた。
だが、その抗争の創意は、怒りや憎しみと縁由する物ではなかった。
人々が信義としてきた功徳が、
魔手によって人の精神そのものより改廃されたのだ。
[やがてそれは神の名を騙る]
おとぎの中で邪神として語り継がれる[ガーナ]の名を知る者は多い。
相対する存在、聖なる女神[リクシィ]の恵みと教えを記した書物の中、
悪の化身として伝えられるそれは、
数多く存在する人々の疑義を混乱へと変え、
正に、現状を風刺しているかのような争いで世界を包もうとするが、
[リクシィ]が人々に与えた[安らぎ]が争いを治め、
心を取り戻した人間達は、
恐怖に屈する事の無い結束を得てガーナを打ち倒す…。
無論、それは古き時代の文士が書き綴った説話であり、
あくまでその枠を越える物ではなかったのだが、
時下の世に広がる奇怪極まりない趨勢が人々の間で筆舌される都度、
その根源に[ガーナ]を鑑みた事が呼称の由来となったのだ。
しかし、その実態は[邪神]等という偶像とは程遠く、
一人のアルケミスト(錬金術師)が生み出した[疫病]だったのである。
だが、彼は巷間に災いを振り撒くつもりなど毛頭なかった。
不衛生な研究室に閉じ籠もり、狂った様に繰り返した実験の最中、
偶発にこの疫病を生み出してしまったのだ。
ところが、彼がその危険性を悟って恐怖に慄いた時、
対抗する術を誂えるための猶予があまりに少な過ぎた。
彼自身が第一感染者だったのである…。
[反乱分子]
国が感染体で埋もれた頃、誰も予想しなかった事態が起きた。
症状が進むにつれ、感染した生物の形状が変化し、
互いに[融合]し始めたのだ。
融合した感染体は身体能力や知情意が向上し、
やがて、人間と同等の理知を持つそれにも希少を感じなくなる頃には、
統率を以て人間社会の支配を目論む者も現れた。
それに伴い、感染体の組織化が著しく進み、
人中の征伐を狙い所として、ガーナの分布は万邦へと拡大した。
常識を超える力を得たガーナ軍の勢いは日を増す毎に強まり、
半年を待たずして世故を保つ都塵は殆ど残ってはいなかった。
だが、未だ世に対する徳化の意を失わず、
邪の支配を阻むべく奮い立つ者達もいた。
[幻導士]
彼等はそう呼ばれ、世界各地の事態収拾に奔走していた。
とある暁闇の中、軸と
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