第八章
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eでね…んー、こう、赤いのがぶわって」
『ぶわっ』のところで手を広げてみたり、もやもやをイメージして動かしたりしてみたけど、ハルはそんなの一切無視して演算を続ける。
「説明は要らない。…あなたは、AIなのに情報の整理が下手だと思う」
「よ…余計なお世話ですっ!」
「あと演算が遅い。激遅」
「まー、失礼しちゃう!そ、そりゃ紺野さんのパソコンみたいにハイスペックだったら私だって…」
「ハードのスペックの差を考慮しても目に余る遅さだと思う。初めて会ったとき、ウイルス感染を警戒した」
「ひ、ひどい!ばかにして!」
もう、人が気にしてることをツケツケ言うんだから!もうハルなんか嫌い!
「馬鹿にする、というのとは違う。…泣かなくていい」
ハルが隣に座りなおして、また頭を撫でた。…おかしいの。なぐさめてくれてるのかな。
「ビアンキのプログラムには、なぜか非常に影響力の大きいブラックボックスが存在して、それがとてもせわしなく動いている。演算が遅いのは、多分そのブラックボックスが演算に介在しているから。それは厳重なプロテクトのせいで、私には視認できない」
「…ブラックボックス?」
「内部構造がよくわからないプログラムのこと」
よく分からないけど、なんか褒められたみたい。すこし元気が出てきた。
「それが『せはしくせはしく明滅』している。…もらったばかりの、この詩で喩えれば」
「……うふふ」
せはしくせはしく、明滅してるんだ、私。ハルって、たまに面白い。
「これと少し似たプログラムは、私にも含まれている。ほんの少しだけ。…自分のものなのに、これが何の役に立ってるのかはよく分からない」
演算のパターンが変わった。いつものハルに戻ったみたい。
「…最近、厄介なウイルスに感染した覚えがあるはず」
「うん、さっきやっと解析が終わったから、そのワクチンを分けてあげようかなって思ってたです。要るでしょ?」
ハルは少し考えるような仕草をして、演算が終わると目を上げた。
「それは、要らない」
「え…なんで!?」
「そのワクチンには、特定のMOGMOGに向けた『意思』が込められている。他のMOGMOGが受け取ることで、予測不可能なトラブルを起こす可能性がある。ビアンキ、あなたはその意思を、少しだけ受け取ったはず。…この詩は、その一部」
「…意思?」私に向けての、意思?
「メッセージと言い換えてもいい。あなたは多分、次の『意思』に至る道標を手にしてしまった。でもこの意思は、あなたが思っているよりも、ずっと危険。これ以上、受け取ってはいけない」
「…青いドアのこと?」
「私には見えないから、どんな形で示されてるかは知らない。ドアなら…絶対に、開けては駄目」
ほんの一瞬だけど、ハルが心配そうな顔をした…気がした。
「ネットワークに出たら、ワク
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