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【旧】銀英伝 異伝、フロル・リシャール
エル・ファシル騒乱(後)
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した。
「ああ、ご苦労だった、大尉」
「これから忙しくなります。どうぞよろしく」
 そう言ってフロルはグリーンヒル少将の部屋を辞したのである。


 その後の展開は、まさに劇的の一言であった。
 エル・ファシル本星を民間人を放置した司令部、そしてその間隙でもって民間人300万を救った無名の中尉、ヤン・ウェンリー。
 急展開を見せ続けた続報を聞くにつれ、グリーンヒルは背筋を走る寒気を抑えられなかった。まさに、あの大尉が言ってのけた通りの展開なのだ。
 そんな一種のそこはかとない恐怖心を抱きながらも、彼は大尉の約束を守った。難民受け入れの手配という、その初動の早さによって、グリーンヒル少将はまた一つ功績を上げることになる。フロルも自身の働きでリンチ少将の家族の保護を完璧にやってのけた。軍部にとっても、卑怯者と批難されている男の家族に対する、グリーンヒルから要請に無視を決め込むわけにはならなかったのである。

 その結果、マスコミがその下劣なマイクをリンチ少将の家族に向けようとした頃には、既に行方が不明になっていた。フロルもその最低限の行いで、いくらかの安心を得ていた。恐らくこの家族が迫害を受ける心配は、まず去ったからである。それが、気休めだとは知っていたが……。

 そんな裏の事情があることも知らず、ヤン・ウェンリーは未だ、狂躁乱舞の中にいた。




























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