第3次ティアマト会戦(6)
[10/12]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
う死に神となる。
フロルには、守るべき者ができたフロルには、彼の大切な者に不幸を撒き散らす人間に容赦などできようもなかった。
??ラインハルト・フォン・ローエングラム!
フロルは自分が冷静さを失っていることに気づいていた。
彼は自分が将としての思考を手放していることにさえ、気づいている。
だが艦橋ディスプレイに映ったラインハルト艦隊の姿が、その恐怖が、彼を塗りつぶしていた。
フロルは恐ろしかったのだ。
敗北を知らない、あの戦争の天才が。
「おまえは知らないのだ、ラオ少佐。我々の前にいるあの、ラインハルト・フォン・ローエングラムという男が、いったいどれほど危険な男なのかを。ラオ少佐、あの男を名将程度だと思ったらそれは大間違いだ。あれは、史上最も危険な帝国軍中将なのだ!」
吐き捨てるような口調だった。
「どういうことです、リシャール准将! あなたはなぜそこまでラインハルトという男を??」
《帝国軍艦隊が撤退を開始しました》
フロルにとって、第3次ティアマト会戦の終わりは情報士官の一声によってもたらされた。
結局、フロルによって再編成された同盟軍第4艦隊残存部隊は、一撃の砲撃をすることなく、撤退を余儀なくされたのである。
直後に訪れた、同盟軍総司令官の撤退命令によって。
***
叛乱軍が別働隊を編成していた時は驚いたが、なぜかそれを生かす行動をしなかった。そのおかげで、ミュッケンベルガーが思惑通り、満身創痍の叛乱軍第5艦隊に止めを刺そうと、交戦を始めた直後のことであった。
「シュターデン中将より入電! 我半包囲されたり。被害甚大。戦闘の継続能わず。救援を請う!」
「何!」
ミュッケンベルガーは席を蹴って立ち上がった。
それと同時に、シュターデンを失念していた己の迂闊さに舌打ちをしている。
シュターデン艦隊は1個艦隊をもって、敵の1個艦隊を引きつけ、ミュッケンベルガーとラインハルトの2個艦隊が叛乱軍の艦隊を各個撃破するまでの時間稼ぎを申しつけていたのである。
艦隊の数も、質も、シュターデン艦隊は叛乱軍に劣っていないはずである。
それが敗れたということは、ただ一つの理由においてであろう。
「シュターデンめ、戦争巧者を気取っておりながら、そんなこともできんのか!」
ミュッケンベルガーはそう言い捨てた。彼にとっては、大言壮語をする者も、謙遜する者も、実力がない時点で役立たずの人材なのだ。彼にとって、帝国軍宇宙艦隊総司令官として、大切なことはただ一つ。
有能であるか、否か、なのだ。
ミュッケンベルガーとて、帝国軍の将である。帝国軍の悪しき慣例として、家柄や地位によって軍隊における地位まで左右されることを容認していたし、そのよう
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ