第3次ティアマト会戦(5)
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かってくる。我が軍はよって、右前方に艦隊を進める。我が軍は前方の艦隊を受け流し、そして右後方から迫る艦隊を振り切る??」
***
「それしか、あの艦隊、つまりは叛乱軍第5艦隊が生き残る術はあるまい」
ラインハルトは頬に笑みを浮かべつつ、そう言い放った。それは己の策がほぼ完璧に成功しつつあることに、満足していたからであろう。ラインハルトの詭計はなり、敵1個艦隊を易々と突破、更に敵の総指揮官の艦隊の後背に回り込むことにも成功した。
「我が艦隊は敵第5艦隊の側面を突けますね」
「そして逃げようとする敵の頭を押さえるのがミュッケンベルガーの役割ということだ。問題は、ミュッケンベルガーにそれが成せるか、ということだが」
キルヒアイスは敵の退路を断たんと動いているミュッケンベルガー艦隊の陣形図を見て、小さく頷いた。数の上では1対1の衝突である。逃げようとする者を押さえるのは向かってくるものを叩きのめすよりも困難である。だが、その程度の芸当ができないミュッケンベルガーではないようであった。キルヒアイスはラインハルトの顔を見たが、ラインハルトは一瞬片眉を上げただけである。
「第10艦隊はシュターデン艦隊に任せていますが」
「数の上では互角以上だ。それに、兵力を分断することに我が帝国軍は成功した。ただ一つ問題があるとすれば、こちらも二分されてしまったことだが」
「艦艇数はこちらが優位です。」
「我が艦隊はこのまま第5艦隊に突入する」
それが第5艦隊、最大の苦難の始まりを告げる号令であった。
***
ラインハルト艦隊は第5艦隊を陵辱した。
頭をミュッケンベルガー艦隊に押さえ込まれた第5艦隊は、効果的な対抗手段を封じられ、ラインハルト艦隊を迎え撃つことになったのである。だが、ビュコックは非凡だった。前方に攻勢を強め、退路を作り出すことに加え、後方の半個艦隊を後ろに振り向けラインハルト艦隊に対応した。至難の技、というべきであった。
対するラインハルトの戦術も、非常識なものである。
その芸術的なまでの艦隊指揮で艦隊をまとめ上げ、恐ろしいほどの観察眼で第5艦隊の一瞬の乱れを見抜くと、そこに突撃をし、抜群の速度と躍動性によって、半ば用兵の基礎を度外視した動きによって、同盟軍第5艦隊の混乱を招こうとしたのである。
第5艦隊は前方のミュッケンベルガー艦隊、後方のラインハルト艦隊による挟撃態勢がが完成したことに加え、更なる負荷をかけようとするラインハルト艦隊によってその被害を大きくしていった。乱戦、混戦の中で、中級指揮艦は次々と、時間と比例して失われていった。
それはホーランドがやろうとしていたことを、裏返してラインハルトが行っていたのだ。
ラインハルトの目的はただ一つ。
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