第3次ティアマト会戦(5)
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いた方が良さそうだな」
パストーレも、今の強烈な爆発にその必要を感じ取ったようだった。
「全部隊に告げる」
パストーレは艦隊放送のスイッチを入れ、声を張った。
「あの先頭部隊を決してこちらに近づけるな!」
***
「どうやら、敵もあの無人艦部隊50隻が爆弾を満載していることには気付いたようだな」
「はい、ラインハルト様」
ラインハルトは慌てふためくように先頭部隊に砲撃を集中させる同盟軍を見て小さく笑った。爆弾を満載、といってもたかが50隻程度の部隊である。それの爆発と誘爆によって同盟軍に与えられるであろう損害はせいぜい150隻。これは撃沈以外の戦闘不能になるであろう艦の数を含めてこれほどの被害である。確かに前線に楔を打つ程度のことはできるが、それで突撃したのでは帝国軍本隊が少なくない被害をこうむることになるだろう。
「現在4隻目が撃沈されました!」
通信士官が声を上げたが、先頭部隊は特に装甲が厚く防御に強い艦を選別されていた。ラインハルト艦隊の本隊を相手にしながらでは、なかなかすぐには全てを落としきれないであろう。
「見ろ、キルヒアイス。同盟軍のあのみっともない慌て方を」
「ええ、最前線の部隊は爆発に巻き込まれたくない一心で、撃ちまくっていますね」
「問題は敵の司令部だ。あの程度の脅威に対して、過剰に反応しすぎるのだ」
ラインハルトはそこでキルヒアイスを見た。
「キルヒアイス、例のアレまであとどのくらいだ」
「もう少しで、先頭部隊が有効範囲まで敵前線に近づきます。その瞬間に一斉に」
ラインハルトは頷いたが、顔は不満顔である。本来、ラインハルトはこのような小細工が嫌いだったのだ。彼は大艦隊同士の戦いで、勇猛に戦い、敵を完膚なく叩き潰すことの方が性分にあっているのである。
今回の戦いにせよ、本気で推し進めればまず確実に敵艦隊を抜く自信はあったし、これを殲滅することもできるはずであった。だが、この戦いは第3次ティアマト会戦という大会戦の中の局所的な戦闘に過ぎなかった。今、ラインハルト艦隊に求められているのは、敵艦隊を突破するという一点であり、突破さえできれば敵の艦隊は放置してもよいくらいなのだ。
これは一定の危険を残す。後方に敵を残せば、こちらを追って尾に食いつかれる危険性があるからだ。だが、ラインハルトはこれを振り切ることができるであろうと客観的に考えていて、後方に追いつかれるよりも先に叛乱軍2個艦隊の後背を突けると確信していた。
だが、それを成すにも今は時間との戦いだった。叛乱軍2個艦隊と対する帝国2個艦隊はかなりの苦戦を強いられていると情報が伝えられていた。叛乱軍第5艦隊、第10艦隊は前評判通りの実力ということらしかった。
ミュッケンベルガーが率いている2個艦隊
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